ブックタイトルbookcopolo1905
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?科学的な視点から、食の安全・安心について学ぶコラムです。今月のテーマ食品の安全と食品添加物畝山さんに聞く!食品に意図的に加えられるものは安全性が確認されていなければ認可されない食品安全の歴史を振り返ってみると、食品安全のための法律ができるきっかけは、食品を売る人たちがお金儲けのために重さや品質をごまかしていたことでした。水で薄めたり砂を混ぜたり、時には健康に害を与えるようなものが使われていた時代がありました。そこで、食品を安全にするために、最初に取り締まられたものが、食品に意図的に加えられるもの、つまり食品添加物です。安全であることが証明された場合にだけ使えるように、世界中で法律や制度が整備されてきました。残留農薬や動物用医薬品も同じように、食品に残る場合には、それを食べた消費者に健康被害が出ないような量にしなければなりません。食品添加物の指定にあたっては、指定された方法で行なった実験のデータを厚生労働省に提出し、食品安全委員会の評価を受けて、人の健康を損なう恐れのない場合に限って使用が認められます。安全性を証明するために、動物に大量に与えたときに有害影響(毒性)が出るかどうかを調べるのです。そしてそのような有害影響が出ないような量や使い方をするように使用基準を決めたり商品設計をしたりするのです。危険な量を知ることが安全・安心につながる時々「食品添加物には○○という毒性があります」と、食品添加物は悪いものだと主張する人がいますが、毒性影響が出るまで与えて調べているので、大量に与えたらどうなるのかという情報があるのです。少し不思議に思われるかも知れませんが、科学者は毒性に関する情報がたくさんある物質のほうが安心して使えると考えます。化学物質を安全に取り扱うためには、それがどのような危険性(ハザード)を持っているのかが分かっている必要があるのです。台所にある塩でもどのくらいなら危険、ということが分かっているので(一度に100gも食べたら中毒、1日10g以上は健康に悪影響というように)そうならないように使います。普通の食品は安全性を調べていないので、大量に与えたときにどうなるのかという情報はほとんどありません。情報がない、ということは安全かどうか分からないということです。京都では色とりどりの和菓子など、食べ物でも季節を楽しみますね。色はとても大事です。ワンポイントの着色に、食品添加物として認可されている食用色素を使えばごく微量で済みますが、それを嫌って手近な植物などを使うのは、何が入っているか分からない上に、望み通りの色になるとも限らないでしょう。また、高齢になると肉をやわらかくする酵素や、飲み込みやすくする増粘多糖類がとても便利です。食品添加物は先人の知恵や技術の結晶でもあります。頭ごなしに否定せず、賢く利用しましょう。教えてくれるのは…うねやま畝山ち智か香こ子さん国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長東北大学薬学部卒、薬学博士。生化学、薬理学を専攻して食品や医薬品の安全性研究に従事し、2003年以降食品中の化学物質の安全性に関する情報収集と提供を主に行なってきた。主な著書は、「ほんとうの『食の安全』を考える-ゼロリスクという幻想」(化学同人)「『健康食品』のことがよくわかる本」(日本評論社)など。08コーポロ2019年5月号