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?科学的な視点から、食の安全・安心について学ぶコラムです。今月のテーマ身の回りに潜む天然・自然の「落とし穴」畝山さんに聞く!意外と身近で危険な自然毒2019年4月、群馬県の夫婦が知人から譲り受けたイヌサフランをギョウジャニンニクと思って食べて食中毒になり、重症だった夫が死亡したと報道されました。イヌサフランにはコルヒチンという強い毒物が含まれ、過去にも死亡事例が報告されています。食品に含まれる化学物質が原因となって死亡する事例はそれほど多くはないのですが、その数少ない事例のほぼ全てが天然の動植物に含まれる毒素が原因です。フグ毒、キノコの毒も命に関わるものです。そこまで重症にはならないものの、毎年のように中毒事例が報告されているのはスイセンをニラと間違える事故です。今年も消費者庁が注意喚起したその直後に何件か報告されました。天然・自然だから安全、毒があっても大したことはないとは決して思わないでください。子どもたちの「食育」の現場でも・・・そして、特に気になるのが小学校でのジャガイモによる食中毒です。ジャガイモにはソラニンやチャコニンという毒素が含まれているのですが、この毒素は未熟なものや傷がついたり光に当たったり芽が出たりすると増えて、食べると腹痛や下痢・嘔吐といった中毒症状を起こすようになります。このジャガイモ中毒の発生が特に多いのが小学校なのです。原因は小学校低学年の生活科で、ジャガイモを育てて食べるという授業が行われていることのようです。学校の先生が指導している授業で子どもたちが中毒になっている、しかも文部科学省や保健所から注意するように通知が出されているにも関わらず、繰り返し事故が起こっています。このことが象徴するのは、学校の先生が食品の安全性についてあまり理解していないまま教えている、ということです。生きる力を育むのなら身近にある毒について知って、それらへの適切な対処法を教える必要があるのですが、一部の先生はともすると食品添加物や農薬のような人工の化学物質ばかりを悪者にして、自然に潜む有害物質をそれほど重要視しない場合があるようです。食品ではありませんが、校庭などに植えられているアセビやキョウチクトウも、花はきれいですが有毒なので、遊び道具などにしないように注意が必要です。このように、毒がある動植物は身の回りにたくさんあるので、毒のことを知って、紛らわしいものはむやみに口にしたり触れないなど、上手に対処していきましょう。なお、ジャガイモの栽培については農林水産省が動画やリーフレットを作成して詳しく情報提供をしていますので、ぜひ参考にしてください。■ジャガイモによる食中毒を予防するためにhttp://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/potato.html教えてくれるのは…うねやま畝山ち智か香こ子さん国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長東北大学薬学部卒、薬学博士。生化学、薬理学を専攻して食品や医薬品の安全性研究に従事し、2003年以降食品中の化学物質の安全性に関する情報収集と提供を主に行なってきた。主な著書は、「ほんとうの『食の安全』を考える-ゼロリスクという幻想」(化学同人)「『健康食品』のことがよくわかる本」(日本評論社)など。10コーポロ2019年8月号