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概要

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山中研究者には2つの要素が必要です。1つがアイデアで、これは若いほどたくさん出てきます。もう1つは経験です。経験は逆に、歳とともに上がっていきます。研究者は経験でカバーできる仕事でもあるので、若い人が入ってきても、いつまでたっても順番が回ってこない。社会構造や考え方を大幅に変えないといけない。そのような意味では大変だと、日々思っています。畑京都生協も若い職員に主要なポストを任せてこれからを担ってもらいたいのですが、なかなかそうならないのが課題です。iPS細胞研究所では研究室に仕切りを設けずに、オープンラボ方式で複数の研究者グループが互いに活発なコミュニケーションをとっていると聞きました。チームにとって必要なもの、チームのトップとして意識されていることはありますか。山中共通のビジョンを持つことが一番大切ではないかと思っています。私たちは「iPS細胞という技術を、いかに患者さんに届けるか」というビジョンがはっきりしているので、共有化はしやすい。しかし実現に2 0年ぐらいかかる上に失敗も多く、モチベーションを維持するのが難しいことと、雇用が安定しないことが一番大変だと感じています。畑自分のやりたいことと組織が目指すものがかみ合わず、リタイアする職員もいます。これについてはどのように思われますか。山中研究にはさまざまなステップがあり、研究者にもそれぞれ向き・不向きがあります。指導者がそれを見極めて、できるだけ合ったテーマを与えることがポイントです。iPS細胞を作る研究も、最初に任せた研究者はあまりにリスクが大きすぎて、ひるんでしまった。次に任せた人は「知らぬが仏」だったのか、リスクをリスクと考えず、一気に仕事が進みました。適材適所にできたら一番いいと思います。畑京都生協では職員ビジョンに「頼もしき隣人たらん※1」を掲げ、これに日々近づくための行動を「クレド※2」として、それぞれの職場のミーティングで交流しています。モチベーションを維持していけるように、仕事の目的を常に意識できるようにしています。※1「頼もしき隣人たらん」:地域にとっても、職場の仲間同士でも「頼もしい存在」であり続けられるようにと、初代理事長・能勢克男が呼びかけた言葉※2「クレド」:約束、志、信条などをラテン語で表した言葉それぞれの未来展望、到達点とこれからの目標山中(司会より、目標達成に向けての現在到達点を問われて)富士登山に例えますと、今ちょうど5合目ぐらいかと思います。頂上を目指して5合目まで行くためには、まず体力や道具の準備が必要です。いきなり行っても絶対に成功しません。iPS細胞についても約10年間、前臨床研究で多くの先生が一生懸命準備して、ようやく5合目まできました。ただ、富士山は5合目まで行くとすぐそこに頂上が見えていて、意外と簡単そうに思えるのですが、実際に登ってみると大変なのです。まさに、私たちも臨床試験に差し掛かって、ゴールははっきり見えているのですが、近づけば近づくほど大変になっていくだろうと思っています。一番先頭を走っているのが、高橋政代先生。網膜の病気、加齢黄斑変性の臨床研究で、4月の記者会見では「ようやく7合目まで来ました」とおっしゃっていました。今は高橋先生を目標に、一生懸命ついて行っています。私たちも多くの先生の後押しをしていきたいと思っています。畑私たち京都生協には頂上がなく、人々の暮らしがある限り、登山は永遠に続いていくと思います。地球・世界規模の大きな課題の解決に向けて、SDGs、持続可能な社会を実現する取り組みを進めます。地球温暖化につながるCO 2の排出削減や、海洋汚染に06コーポロ2019年11月号