ブックタイトルbookcopolo2001_2
- ページ
- 8/16
このページは bookcopolo2001_2 の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは bookcopolo2001_2 の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
bookcopolo2001_2
?科学的な視点から、食の安全・安心について学ぶコラムです。今月のテーマ国産食品と輸入食品畝山さんに聞く!国内で流通する食品の安全基準2017年から食品の原料原産地表示が始まり、移行期間を経て全ての加工食品に原料原産地が表示されることになりました。とはいえ、「国産又は輸入」、「国内製造」といった表示も認められます。日本の農産物を応援したいので「国産」と表示されているものを選びたい場合もあると思いますが、チョコレートやワインなど、国産原料はほとんどないものや、外国産のほうがブランド価値が高いものもあるでしょう。表示は消費者の選択に役立てるためにあるので上手に利用したいものです。その前にあらためて確認しておきたいのは、国産・輸入に関わらず、日本国内で流通する食品は全て同じ日本の基準が適用されていて、安全性について違いはないことです。「国産」への信頼と国際規格のギャップ一方で日本は近年、農産物や食品の輸出促進を優先課題にしています。日本はこれまで食品の輸入は多いものの、輸出はわずかしかありませんでした。輸出する商品は相手国の基準を満たす必要があります。日本産の食品は安全で質が高いのだから、そのまま海外にも輸出できると考えるのは間違いです。国際的に流通する食品の安全性や品質については、基本的に「コーデックス規格」という国際基準が参照されますが、国により違いはあります。国際基準と国内基準がほとんど同じなら輸出入はスムーズですが、日本は独自の基準が多く、国際基準への適合は、より新しい時代になってから法整備をした途上国より遅れています。日本はこれまで相手国に要求するだけで良かったこともあり、他国からの要求に応えることは得意ではないのです。もちろん世界進出している大手企業は各国の事情にあわせて商品を作っていますが、国内でしか販売してこなかったものを海外に売るにはそれなりに努力する必要があります。その努力を、中国などの輸出国は欧州や米国相手にずっとしてきたのです。日本はこれから取り掛かろうとしている段階なので、生産者は国内での無条件に近い「国産」への信頼と、海外からの厳しい視線とのギャップに苦労することが多くなるでしょう。しかし外部の目で指摘されて見直すことによって、より高い水準のものができるという側面もあります。「国産」と宣伝するだけで品質を問わずに輸入品よりもよく売れるなら、品質の向上に向けての努力を怠る生産者が出てくるかもしれません。日本の生産者のレベルを上げるためにも、消費者には「国産」表示の文言だけを頼りにするのではなく、確かな目で中身を判断してほしいと思います。教えてくれるのは…うねやま畝山ち智か香こ子さん国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長東北大学薬学部卒、薬学博士。生化学、薬理学を専攻して食品や医薬品の安全性研究に従事し、2003年以降食品中の化学物質の安全性に関する情報収集と提供を主に行ってきた。主な著書は、『ほんとうの「食の安全」を考える-ゼロリスクという幻想』(化学同人)『「健康食品」のことがよくわかる本』(日本評論社)など。08コーポロ2020年1月号