ブックタイトルbookcopolo2003
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?科学的な視点から、食の安全・安心について学ぶコラムです。今月のテーマ最終回食品安全はみんなの仕事畝山さんに聞く!時代とともに生まれた「世界食品安全デー」2019年6月7日は国連が決めた初めての「世界食品安全デー(World Food Safety Day)」でした。今月のコラムのテーマにもなっている「食品安全はみんなの仕事」は、世界食品安全デーの記念すべき第1回目のテーマです。国連が1981年から10月16日に定めた「世界食料デー(WorldFood Day)」もあるので、少々紛らわしいかもしれません。世界食料デーは飢餓をなくし、みんなが十分に食べられる世の中にすることが主な目的なので、どちらかというと政府や大きな企業・団体が取り組む部分が多い課題かもしれません。一方、食品安全デーは全ての人に、手を洗うなどの身近な対策を呼びかけるものです。これには食品安全の考え方が時代とともに進化してきたことが反映されています。食の安全を守る「鎖」は消費者もつながっている現代の食品安全の考え方は「フードチェーンアプローチ」というもので、生産者から消費者に至るまで、全ての関係者が食品の安全に責任を持ち、それぞれの役割を果たすことで安全になる、と考えます。もともと食品は汚染されたり傷んだりしやすく、あらゆる段階で安全性が損なわれるリスクがあります。生産者は適切な生産管理をして農作物や家畜を育て、流通・加工・製造業者も温度や取り扱いなど、必要な安全対策を実施します。販売されている食品を購入したときに消費者はその鎖(チェーン)につながり、温度や調理のための注意をきちんと守って安全に食べる必要があるのです。原材料から自分で作って自分で食べることができるものはごく一部でしかなく、南国の果物や北の海の海産物を一度に楽しむことができる今の時代は、食品の生産や流通に関わる全ての人が、信頼の鎖でつながれていることが安全の前提条件になります。もちろんそれぞれの段階で確実に対応されていることを記録したり、公的機関によるチェックがあったりはしますが、関係者が全て悪意をもって、隙あらば異物を混入したり偽装したりするものだということを前提にしたのでは成り立ちません。関係者がそれぞれの仕事を理解し尊重しあえるのが理想です。そういう仕組みの中では、間違った情報はとても有害です。例えば加熱調理用として販売されているレバーを、消費者が生のほうがおいしいというネットの情報を見て生で食べて食中毒になった場合、生産者や販売者は直接責任があるわけでなくても悲しむでしょう。消費者にも信頼に応えてほしいのです。安全な食品を安心して食べたいというのは全ての人の願いです。そのためにはまだやるべきことがあります。消費者としては、正確な情報をもとに適切な安全管理をすることから始めましょう。※畝山さんのコラムは今月号で終了です。1年間ありがとうございました。教えてくれるのは…うねやま畝山ち智か香こ子さん国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長東北大学薬学部卒、薬学博士。生化学、薬理学を専攻して食品や医薬品の安全性研究に従事し、2003年以降食品中の化学物質の安全性に関する情報収集と提供を主に行ってきた。主な著書は、『ほんとうの「食の安全」を考える-ゼロリスクという幻想』(化学同人)『「健康食品」のことがよくわかる本』(日本評論社)など。10コーポロ2020年3月号