ブックタイトルbookcopolo2003
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商品ものがたり5 675 .左が「ゆず大根」に使用されるゆず。通常の商品に使用されるゆず(右)より、白いワタの部分を多く取り除いているため苦味が少ないのが特徴6.重石をすると、大根の重量は漬ける前のおよそ5分の1になります7.東に見える鈴鹿山脈系の、良質な水が豊富な東近江市。1日2,000tの水を必要とする漬物作りにうってつけの地です石で漬けた野菜は水分が程よく抜けて、「一口めのポリッとした歯ごたえや風味が断然違うんですよ」と、中江さんは語ります。実は中江さん、工場長になる以前は営業として10年間、京都のさまざまな漬物屋を回っていたのだそう。その時にたくさんの交流が生まれ、工場長となった今でも、何かあれば尋ね合える関係が続いています。重石は中江さんが京都で学んだ、漬物作りの基本の1つなのです。手間ひまかけた工程で素材の味を引き出す原料の大根は、九州から北海道まで産地を縦断し、おいしい時期に収穫されたものを使用。皮をむいて短冊状に切り、塩漬けされた大根1t分を天地返ししたあと、さらに600kgの重石で3日間漬け込みます。塩抜きした後はさらに3日間調味液に漬け込み、内部まで味を染みこませます。「夏と冬では大根の水分量が異なり、季節によっては重石をかけすぎると大根が固くなるので、その都度重石を変えています」と、中江さん。味付け用の調味液と大根、細切りのゆずを袋に入れて、商品が完成。「ゆず大根」は他の野菜漬物より塩分を控えて、大根の甘みとゆずの香りを生かしています。香り高い「水尾のゆず」を使用ゆずは全て、京都市右京区、北西の山あいにたたずむ水尾地区で栽培されたものを使用。水尾は国内ゆず栽培発祥の地といわれ、今や「水尾のゆず」は料亭でも使われる高級食材です。ゆずの収穫は11~1月にかけて行われます。丸漬では、1年分のゆずをこの時期に収穫。工場に入荷後、実と白いワタを取り、皮を薄く刻んで冷凍保管しています。「お漬物は食卓の主役にはなりませんが、ご飯やおかずを引き立てる名脇役。京都の伝統的なお漬物が次世代にも受け継がれるように、幅広い年代の方にお召し上がりいただきたいです」と、中江さん。大根もゆずも、旬真っ盛りを迎えています。京都の伝統製法で作られた漬物を、ぜひお試しください。「水尾のゆず」のこぼれ話水尾のゆずの歴史は古く、鎌倉時代に在位した花園天皇が水尾の地にゆずを植えたとされています。ゆずの木には鋭い棘があり、収穫には熟練の技術が必要なのだそう。手作業でひとつひとつ丁寧に収穫され、さまざまな料理や商品に使用されています。カレーのお供といえば福神漬。でも、実は「ゆず大根」もおすすめです。ゆずの爽やかな香りと大根の軽やかな食感が、カレーに意外とマッチします。ぜひお試しください!04コーポロ2020年3月号