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化工機と豆腐の縁は「偶然」によるもの。取引先からの依頼を受け開発した豆腐製造機がトラブルで納品できなくなり、「それなら自分たちで作ろうか」とその機械を使って豆腐づくりを始めたのでした。ちょうどその頃、にがりを使った豆腐を大量生産できるメーカーを探していた京都生協が、四国化工機へ商品開発を打診。課せられた条件は、「絹ごしタイプ」「消泡剤や品質改良剤などの添加物を使用しない」「安定的な大量生産」「衛生的で物流と共同購入の仕組みに耐えられること」「賞味期限1週間以上」という、当時の豆腐業界にとっては難題尽くし。当然、開発は難航しました。中でも、最も苦戦したのが、にがりの使い方です。一般的な豆腐は、温めた豆乳に凝固剤を添加して冷やし固めます。にがりは大豆の風味や甘みを引き出す一方で、温めた豆乳との凝固反応が早いため扱いが難しく、当時はにがりを使った豆腐の大量生産は不可能といわれていました。実験と失敗を重ねる中、ある日、捨てようとしていた冷えた豆乳にたまたまにがりを加えたところ、凝固作用が緩やかになることを発見。さらに、医療用の点滴をヒントに、にがりを添加する装置も自前で製作し、にがりを入れる絶妙な量やタイミングを調整できるようになりました。たゆまぬ努力と度重なる偶然が生んだ「にがり充てんとうふ」は、現在では一般的となった充てん式豆腐の先駆けとなりました。機械メーカーの技術が支える確かな安全・安心新製法をはじめ課題をクリアできた陰には、四国化工機が手掛けた機器たちの存在があります。ほとんどの工程は特製の機器によってオートメーション化。人の手に触れない衛生的な製法で、現在は製造日を含めて16日間という長い賞味期限を実現しています。今回のリニューアルは構想4年、約2カ月かけて試食を重ね、開発した自信作。「技術は進歩していますが、38年前の開発当時と変わらず、組合員の皆さまにおいしいと喜んでいただけるお豆腐をお届けしたいと思い、日々努力をしています」と、四国化工機阿南食品工場製造さいとうまさみ課の齋藤正実さん。四国山系のまろやかな軟水、大豆の風味を引き出すにがりに、北海道産大豆ならではの“甘みと旨み”と魅力を増した「新・にがり充てんとうふ」を、この夏の食卓にぜひどうぞ。1.豆乳ににがりを加えたものをパックに充てん。この後、パックごと加熱すると固まって豆腐になります2.機械で真空状態を作り出し気泡を抜くことにより、消泡剤を使用しない豆腐を大量生産することが可能になりました3.四国化工機阿南食品工場は、四国山系の水にこだわった立地。おいしい豆腐づくりにはこの清らかな軟水が欠かせません4.日本の大豆収穫量の約4割を占める北海道の圃場5.圃場が緑から黄色に変わる頃が大豆の収穫期。「登熟」と呼ばれ、この頃の大豆は栄養分をたっぷり含んでいますさとの雪食品おすすめ!四国化工機阿南食品工場製造課齋藤正実さん20分待つだけでおいしさがアップ!和・洋・中なんでもOK!豆腐の味をより楽しみたいなら、20分程度を目安に「冷ややっこ」を常温で慣らしてから食べてみて。大豆の甘みや旨みをよりしっかり味わうことができます。冷たい食べ物の甘みや旨みは、舌で感じにくいのだそう。「にがり充てんとうふ」は、和・洋・中のどの料理にも合うように考えられた豆腐。トッピングを工夫したり、料理の素材として活用してみるのもいいかも。いろいろなアレンジを楽しんで。コーポロ2020年7月号05