ブックタイトルbookcopolo2007
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教えて!森田さん?食の安全・安心情報を科学的視点で、皆さんに分かりやすくお伝えするコラムです。今月のテーマ農薬・添加物の基準はどう決まる?新型コロナウイルス対策で家庭での食事が増え、いつも以上に食の安全に気をつかう方も多いと思います。残留農薬や添加物が心配という声も聞きますが、これらの物質は「ADI」という目安をもとに基準が定められています。どのように決められ、守られているのでしょうか。一日摂取許容量(ADI)をもとに基準を決める食の安全におけるリスクは、これまでもお伝えしてきたとおり食べる量によって変わります。どんな物質でも、ある量以上を食べれば体調がおかしくなったり、病気になったりします。これは普通の食品でも同じこと。例えば、たまねぎを食べすぎると吐き気などの症状が出ることがありますが、普通に食べていれば問題はありません。一方、農薬や食品添加物は生産や加工の段階で用いられるもので、人の健康に影響のない範囲で使うことが求められます。この目安が一日摂取許容量(ADI)で、ある物質を人が一生にわたって毎日摂取し続けても、健康上の問題がないとされる量のことです。ADIは、さまざまな種類の動物実験で全く影響が出なくなる量(無毒性量)を求め、さらに安全係数(一般的には100)で割って求めます。動物実験は開発企業が行いますが、ADIは食品安全委員会が1つずつ丁寧に評価しています。ADIを超えないよう基準がつくられる次は、食品から摂取する量がADIを超えないように、厚生労働省が使用基準や残留基準を定めます。基準値はかなり低い量に定められており、もし基準値を超過しても、故意に農薬を混入するなどのようなことが無い限り、ADIを超えることはありません。私たちが実際にどのくらいの農薬や添加物を口にしているのか、厚生労働省は摂取量調査を公表していますが、ほとんどはADIの数%の摂取量となっています。基準が守られているか、保健所や生協でチェック生産現場では定められた基準を守るためにさまざまな取り組みが行われます。違反すると食品の流通が禁止され、ブランドにも傷がつき、消費者の信頼も損なってしまいます。例えば農家は農薬の残留基準を超過しないように使用回数を定め、出荷前数日は使わないよう管理・記録しています。都道府県や保健所は、抜き打ちで食品を分析して基準値超過がないか調べていますが、違反はほとんど見つかりません。また、農協や生協の検査センターでも、積極的に検査が行われていることはご存知のとおりです。ADIも基準も安全性は十分に配慮され、それを守るためにたくさんの人が関わり、私たちのもとに安全な食品が届けられているのです。執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森まき田満樹(一社)Food Communication Compass代表。東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題について講演や執筆活動を行っており、消費者庁や厚生労働省の検討会の委員も務める。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。08コーポロ2020年7月号