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概要

bookcopolo2009

教えて!森田さん?食の安全・安心情報を科学的視点で、皆さんに分かりやすくお伝えするコラムです。今月のテーマ表示で選べる?遺伝子組換えとゲノム編集「遺伝子組換え」と「ゲノム編集」。いずれの技術も遺伝子の変異を起こさせて新品種をつくるため、安全性や表示についてルールが定められています。今回は表示について見ていきましょう。「遺伝子組換えでない」表示が厳しくなる日本の遺伝子組換え食品表示は、豆腐や納豆、みそなど33の加工食品を対象に義務付けられています。これらは、遺伝子組換えを用いている場合、最終製品に組み込まれた遺伝子そのものや、その遺伝子によってつくられるたんぱく質が残り、分析できる食品です。一方、食用油、しょうゆ、異性化糖※などは製造工程で遺伝子が分解されてしまい、分析しても使用の有無は分からず、表示は義務付けられていません。生協の商品が義務対象品目でなくても表示するケースが多いのは、原料を調べて自主的に表示しているのです。表示方法も複雑です。遺伝子組換えを用いている場合は「遺伝子組換え」、組換えと組換えでないものを分けていない(混ざる可能性が高い)場合は「遺伝子組換え不分別」の表示が義務付けられています。一方、「遺伝子組換えでない」の表示は任意です。さて、この「遺伝子組換えでない」の表示は、これまでは遺伝子組換え作物の混入が5%以下であれば表示できましたが、2019年4月に制度が厳しく見直されました。少しでも混入している場合は「遺伝子組換えでない」と表示できなくなり、事業者は2023年4月までに変更しなければなりません。国産原料の場合など、全く混入していない(分析で不検出)場合は「遺伝子組換えでない」の表示ができますが、輸入原料は非組換えを分別しても、少し混ざってしまう可能性があるため、「遺伝子組換えでない」表示はできなくなります。そのため、豆腐・みそなどは、これらの表示が減ることが予想されます。※ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖。とうもろこし、馬鈴薯やサツマイモなどのデンプンを原料に作られる遺伝子組換え食品表示(表示対象33品目は変更なし)組換え作物使用原料現在の表示今後の表示組換えと非組換えを分別していない非組換えを分別(5%以下混入)非組換え(不検出)ゲノム編集技術応用食品は情報提供のみゲノム編集技術の場合は前回お伝えした通り、外来遺伝子が導入されず、単に遺伝子を切るだけなら、突然変異でも起こり得るとして、厚労省は事前の「届け出」のみを求めることにしました。これを受けて、消費者庁は届け出された食品は、ゲノム編集技術を用いたことが消費者に分かるよう、情報提供を求めるとしました。ただし、義務表示ではありません。現在、日本のゲノム編集技術食品の開発者は、販売する際にはきちんと伝えたいとしています。とはいえ、輸入品に至ってはどこまで情報提供がされるのか、私たちが選ぶことができるのかが、今後の課題として残されています。「遺伝子組換え」も「ゲノム編集」も義務表示は一部のみ、なのです。執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森まき田満樹遺伝子組換え遺伝子組換え不分別遺伝子組換えでない遺伝子組換えでない無表示か、「分別生産流通管理済み」など(一社)Food Communication Compass代表。東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題について講演や執筆活動を行っており、消費者庁や厚生労働省の検討会の委員も務める。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。08コーポロ2020年9月号