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概要

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水野泰平Taihei Mizuno有限会社シサム工房代表取締役1969年東京生まれ。同志社大学商学部卒、立命館大学国際関係研究科修士課程修了。大学時代に南アフリカのアパルトヘイト問題と出会い衝撃を受け、途上国の人権、貧困問題に関心を持つ。エスニック雑貨店を経営する会社でバイヤーを経験した後、1999年京都の百万遍にフェアトレードショップ「シサム工房」を創業。現在、全国の小売店約350店舗への卸販売と、直営のフェアトレードショップ(京都2店舗、大阪3店舗、兵庫2店舗、東京1店舗)、オンラインストアの運営をしている。畑生産者、消費者、仲介者…それぞれの立場から考える「みんなの幸せ」畑今は、温暖化など地球規模でのさまざまな問題を解決していくために、世界中の人々と協力・連携することが大事だと思います。「シサム工房」の考え方に「五方良し」がありますね。近江商人の「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方良し」に加えて、「つくり手良し」「地球環境良し」で「五方良し」。この考えを通じて、貧困や児童労働、環境問題など、あらゆる社会問題の解決を目指しておられます。シサム工房では支援対象者が技術を身につけ、職を持つところまでサポートする「自立支援」を行っておられますが、生産者として自立するまでの様子を聞かせていただけますか。水野例えば、今回の「エシカルトート」を縫製した「クリエイティブ・ハンディクラフト」というNGOは、ムンバイのスラムに暮らす手に職を持たない女性たちに4~6カ月間、縫製技術を教えて、習得した人がグループに入る。グループリーダーをしている勤続13年目のシャブナムさんという女性は、18歳と17歳の息子と夫との4人家族。それまでは近所のお手伝いさんをしていたのですが、クリエイティブ・ハンディクラフトと出会い、技術を覚え、真面目に働くことで収入が得られるようになり、子どもたちを学校に行かせることができた。一番大切なのは、子どもたちに教育を与え、次の世代につなげていくことです。畑貧困の連鎖を断ち切る素晴らしい取り組みですね。京都生協は1964年の創立以来、組合員、生産者、京都生協の3者が対等な立場で取り引きするために協力してきました。最近では、エシカル消費※2やフェアトレードも「誰かの笑顔につながるお買い物」という表現をしています。買い手だけでなく、みんなが幸せになるための架け橋である私たちの役割や、担う使命についてどのようにお考えですか。水野フェアトレードは購入して初めて成立します。購入しなければ次の注文にはつながらず、循環しない。サプライヤーである私たちは、買い手が欲しいと思ったものを提供できるように、さまざまな商品を揃えることが大事だと思います。畑京都生協はみんなの暮らしの役に立ちたい。価格を抑えた品質の良いものから、少しグレードの高いものまで、一人ひとりが選べることを大事にしていて、それはいろいろな人を認める多様性でもあると考えています。水野私たちが商品開発で気をつけていることが2つあって、1つは「生産者を知る」こと。スラムに暮らす女性たちとつながるためには、この人たちは何ができるのか、どのような素材を手配できるか、どのような環境で物を作っているか、引き継いだ伝統があるかなどを知った上で、日本のマーケットに合った開発に転嫁させてものづくりをすることが必要です。もう1つは、「フェアトレードに甘えない」こと。値段の高さや不具合などに対して「フェアトレードだから」という言い訳は絶対にしません。プロ意識を持って、問題はきちんと改善していく。そうでないとこの事業はできません。畑シサム工房のロゴに「FAIR TRADE+design」とある通り、商品や店舗にもデザイン性を感じます。ブランド価値はもちろん、人を引き付けるためにはデザインの力が大きいように感じますが、いかがでしょうか。水野ブランディングは2006年、京都の繁華街に店を出すにあたって考えました。創業当時からたくさんの伝えたいものをいろいろな言葉で表現してきましたが、その中で「伝える」と「伝わる」は全く別物だと感じました。伝えたいことを伝わるようにする手法がデザインです。フェアトレー?対談中はマスクを着用