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概要

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狙った遺伝子を変異させる「ゲノム編集技術」ゲノム編集技術は食品における利用だけではなく、医療分野においては「ゲノム治療」として研究されているすごい技術。ですが、安全性や倫理などの面からも考えていく必要があるというのが国際間の認識です。ゲノム(genome)とは、「gene(遺伝子)」と集合をあらわす「-ome」を組み合わせた言葉です。遺伝子は、人間をはじめとする全ての生物が持っており、形や性質といった遺伝情報を伝達する働きをしています。その実体は、生物の細胞の中にあるDNAです。つまりゲノムとは、DNA中の全ての遺伝情報を意味しています。DNAを構成する4種類の塩基(A,T,G,C)は、二重らせん構造で連なっています。例えば病気に強くなる遺伝子、味が良くなる遺伝子など、塩基のつながり方によって働き方が決まります。DNAは生物の“設計図”のようなものです。自然界では、紫外線などの影響でDNAの塩基配列が切れることがあります。生物は、切れたDNAを元通りに修復しようとしますが、一部が欠けたり、塩基が置き換わったり、他の塩基が入るといった修復ミスが起きることがあります。この修復ミスにより遺伝子に突然変異が起きて、新しい性質を得ることになります。一方、新たに開発された酵素「クリスパーキャスナイン」は細胞に注入すると、目的の遺伝子がある場所を見つけ、DNAの塩基配列を切断し、狙った場所に確実に変異を起こさせることができます。ゲノム編集のイメージ図ーACG GTーーTGC CAーチョキ!ーACGT AGTーーTGCA TCAーーACG C AGTーーTGC G TCAークリスパーキャスナイン直さなきゃ!ーACGT CG AGTーーTGCA GC TCAーれています。中でも、筑波大学が開発した「GABA※の多いトマト」は実用化が近いと言われています。食品表示の義務はないけれど…一般的に、品種改良によって誕生した新品種は、遺伝子組換えの品種を除き、国による安全性審査は義務化されていません。遺伝子組換えの品種となると、食品・飼料・鑑賞用のいずれにおいても研究開発、生物多様性への影響に対して国の確認があり、厳しい安全性審査を経てようやく商品化されます。一方、ゲノム編集食品は、国への事前相談の届け出のみで、安全性に関する情報の公表は義務ではありません。ポイントは、外からの遺伝子を取り込んでいるかということ。ゲノム編集食品でも外来遺伝子を取り込んで変異させる場合は、安全性審査が必要になります。食品表示の面からも考えてみましょう。2019年に遺伝子組換え表示制度が改正になりました。生協が自主的に表示している「遺伝子組換えでない」は任意で表示するものでしたが、内容が厳格化され「検査で不検出の場合」のみに表示できることになりました。一方、ゲノム編集食品は、単に中の遺伝子を切るなどして変異させた場合は、検査では判別できません。現状は、表示は義務ではないものの情報提供を促していますが、私たち消費者に情報が伝わるかが課題となっています(その後、2020年12月11日にGABAの多いトマトが届け出されましたが、きちんと表示していくとのことです)。私たち消費者は、新しい情報を常に取り入れながら、食の安全性について関心を持ち続けることが大切です。※天然アミノ酸のひとつである、γ-アミノ酪酸(Gamma AminoButyric Acid)の略称。主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働き、興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする役割を果たしているーTAーーATー一部が欠ける文字が置き換わる他の文字が入る質問Timeゲノム編集技術で意図しない変異が起こるのでは?現在、日本では、京都大学と近畿大学の共同研究「肉厚マダイ」といった魚を中心とした動物分野、「多収イネ」「紫色のシャインマスカット」などの植物分野において、ゲノム編集技術による新しい品種改良の開発が行わ目的の遺伝子ではないところでもし似た配列があれば、ハサミで切る可能性もゼロではありません。しかし、その場合でもその後の選抜で目的以外のものは取り除かれ、品種として世に出ることはありません。コーポロ2021年2月号07