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教えて!森田さん?食の安全・安心情報を科学的視点で、皆さんに分かりやすくお伝えするコラムです。今月のテーマ『食べるなキケン』のウソ・ホント2食塩のとり過ぎに要注意食塩のとり過ぎと病気の関係これまで添加物や農薬についてご紹介してきましたが、現在の食生活で特に気をつけていただきたいのが「食塩のとり過ぎ」です。食塩をとり過ぎると血液中の塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分を多くため込むため、血管に高い圧力がかかります。これが高血圧の状態で、それが続くと血管壁がダメージを受けて動脈硬化が進み、脳疾患、心臓疾患、じん不全などの病気を引き起こします。また、胃がんなどがんの発症にも関わります。このように食塩の過剰摂取はさまざまな病気のリスクを高めるため、注意が必要です。それでは、日本人は1日どのくらいの食塩をとっているのでしょうか。国民健康・栄養調査(2018年)を見ると、食塩摂取量の平均値は10.1gで、男女別にみると男性10.9g、女性9.3gでした。年齢階級別にみると、男女とも6 0歳代で最も高く、男性は11.6g、女性は9.9gでした。この10年間で少しずつ減ってきてはいますが、なかなか10gを切ることができません。一方、厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、1日の食塩摂取の目標量は、18歳以上の男性は7.5g未満、女性が6.5g未満です。日本人の平均値とは、かなり隔たりがあります。この目標値は厳しいと思われるかもしれませんが、国際的にみるとWHO(世界保健機関)は5.0g未満です。日本も国際基準に近づけたいところですが、日本人は諸外国と比べて食塩摂取量が多く現状を踏まえた目標値となっています。日本高血圧学会では、高血圧の治療において1日6.0g未満を推奨しています。減塩のため、加工食品の表示のチェックを多くの日本人が減塩の取り組みが必要ですが、「自分は大丈夫」とか「計算が面倒」という声も聞きます。そんな場合は、まずは表示を意識するところから始めてみましょう。加工食品は食品表示法で栄養成分表示が原則として義務化されているので、その「食塩相当量」を確認してください。例えば即席めんは、標準的な食塩相当量が4.8g(めん・かやく2.0g、スープ2.8g)で、表示を見るとせめてスープは残しておきたいと思うはずです。また、表示を見ると、思わぬ食塩が隠れていることも。例えば食パン6枚切り1枚0 . 8gなど、塩味を感じないのにけっこう含まれていることに気づきます。朝食のパン、カップスープ、ハム、ドレッシングなどを足していくと3gを超え、1日目標量の半分くらいになってしまいます。また、手作りの食事でも食塩、しょうゆ、みそなどの調味料は確認しますが、だしパックの食塩相当量は見落としがちです。最近は減塩の加工食品も増えていて、品質もおいしさも向上しています。上手に利用しながら薄味になじんでいただきたいと思います。執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森まき田満樹消費者団体(一社)Food Communication Compass代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。08コーポロ2021年2月号