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見る#ミステリアスな京都あやかしスポット

2023.07.07 細辻伊兵衛美術館

粋な手ぬぐいアートの世界―ちょっぴり怖い妖怪展へ―

日本最古の綿布商「永楽屋」の手ぬぐいコレクションを展示する美術館。江戸時代から現代までに生み出された手ぬぐいを、シーズンごとのテーマに沿って展示しています。
綿の着物を作るときに余った切れ端を手拭きなどに使っていたのが手ぬぐいのはじまり。手拭きだけでなく、頭に巻いたり物を包んだり。汎用性が高く日常生活に欠かせないものとして、次第に手ぬぐいとしての柄が作られるようになりました。
「普段は畳まれていて見えないけれど、広げたときにだけ素敵な柄が見える。手ぬぐいには、日本人らしい、粋なおしゃれの要素も詰まっていると感じます」と学芸員の家村さん。実用品として優秀なだけでなく、身に付けたり飾ったりと、おしゃれなアートの側面まで。細辻伊兵衛美術館で、無限の魅力をもつ手ぬぐいの世界に触れてみませんか。

中学生以上の入館チケットは、美術館のロゴデザインが施された手ぬぐい。端に印字されたシリアルナンバーの部分が半券になっており、入り口で裂いてもらいます。裂かれた端はそのままでも大丈夫。最初は多少ほつれますが、ほつれ続けることはありません。
そもそも、手ぬぐいの端は切りっぱなし。縁を織り込んで縫うなどの処理がされていないため、水分がたまりにくく速乾性があり、清潔に保てるというメリットがあります。昔から手ぬぐいは、下駄の鼻緒が切れた時や怪我の応急処置にも使われてきました。丈夫でありながら、いざという時は手で裂いて必要な形で使えるのも、手ぬぐいならではです。

1階は江戸・明治・大正・昭和初期の手ぬぐいの企画展、2階は永楽屋の歴史と現代の手ぬぐいアートをメインに展示。
昭和初期、永楽屋では1年間に100種類以上の柄を制作するというプロジェクトがあり、ハイペースで新作が生み出されました。館のコレクションも、その当時のものが多いそう。
取材時の企画は「昭和のモダンガール展」。モダンガールと呼ばれた女性たちの「断髪」「洋装」「厚化粧」という外見的特徴を鮮やかに映した意匠は、手ぬぐいということを忘れて見入ってしまうほど芸術的。

これらの素晴らしいデザインを実現した染色技術にもご注目。線画や細かい色分けには高度な技術が必要なのだとか。「現代の私たちが見ても驚くほどの技術。永楽屋の手ぬぐいはどの時代の作品を見ても、その当時の最高峰の技術で作られているんですよ」と家村さんは言います。
写真一番左は、繊細な線画が見事で特に染色技術の高さを感じさせる1枚。(「昭和のモダンガール展」より)

この夏は7月2日から「妖怪展-昭和の怖い手ぬぐい-」を開催中。コレクションの中から、妖怪が描かれた昭和初期の手ぬぐいを紹介しています。
手ぬぐいには時代の流行や世相、文化が反映されていますが、なかでも妖怪や髑髏(どくろ)は昔からよく登場する人気のモチーフ。いつの時代にも日本人の心の片隅にある、親しみやすい存在といえるのかもしれません。

怖いけれどどこか愛らしい化け狸や幽霊、スタイリッシュでユーモアのあるガイコツなど。夏の手ぬぐいに躍動する妖怪たちの姿を見に、ぜひ足を運んでみてください。

手ぬぐいの世界に浸ったあとは、1階と2階にあるショップでお買い物。1階は手ぬぐい各種、2階はバッグやハンカチなど、手ぬぐい生地を使った雑貨が並びます。
展覧会にちなんだものや伝統的な柄、舞妓さんがスポーツする姿を描いたシリーズなど、バラエティー豊かな手ぬぐいの数々に目移りしてしまうこと間違いなし。お土産選びの時間もたっぷりとっておでかけすることをおすすめします。

Informations

京都市中京区役行者町368
TEL:075-256-0077
時間 10:00〜19:00(入館は18:30まで)※開館時間は変更になる場合あり
お休み:会期中無休※臨時休館あり、要問合せ
料金:一般1,000円(手ぬぐいチケット付き)、大高中生900円(要学生証提示)、小学生以下300円(手ぬぐい無し)
*妖怪展-昭和の怖い手ぬぐい-
2023年7月2日(日)~9月28日(木)
◎地下鉄「烏丸御池」から徒歩約3分

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