平和への願い
― 未来をつくるのは私たち ―
Ⅰ.今、平和への願いを作成することの意味
Ⅱ.平和についての基本的理念
Ⅲ.私たちの平和への願い
Ⅳ.平和についての京都生協の基本的立場
Ⅴ.平和な未来をつくるために、私たちにできること
Ⅰ.平和への願いを作成することの意味
第二次世界大戦中の空襲や経済統制によって活動停止を余儀なくされていた生協運動は、終戦後再び息を吹き返し、「平和の保証がなければ勤労大衆の生活権の擁護は絶対に達成されない」(日本生協連創立総会平和宣言) として「平和とよりよい生活」を理念に掲げました。以後、京都生協は全国の生協とともに、核兵器廃絶の課題を重視し、ヒロシマ・ナガサキ虹のひろばへの参加、戦争展の開催、平和行進、学習会の開催など平和の大切さを学び広げるとりくみを行ってきました。
1995年には「終戦50周年にむけた京都生協の平和の活動についての提案」を理事会として確認し、「平和とは、『ごく普通の生活が、ごく普通に過ごせる状況』を指」し、「平和でない状況とは、『ごく普通のくらしが脅かされる状況。 安心してくらし続けることに危機を感じる状況』だ」と規定し、「平和の活動は、『いのちとくらしを守る活動』として位置付け」、その平和の概念と平和活動の範囲に広がりを持たせる提案を行ないました。
今、世界で頻発する地域紛争やテロ事件とそれへの軍事報復など、平和が脅かされる状況の中で、組合員の中からも率直に不安の声が上がっています。
しかしながら、核兵器問題については明確な態度をとり速やかな対応を行なってきましたが、その他の国内外での 平和をめぐる様々な諸問題に対しては、京都生協として必ずしも普遍的な考えを明確に持たず、社会的な見解表明を含めて機敏に対応していく上では不十分さがありました。
今回の平和への願いでは、これまでの京都生協のとりくみを踏まえ、国連や市民運動などで確立されてきた平和についての理念や価値観にも学びつつ、京都生協として誰もが一致できる範囲で平和についての基本的な考え方を明確にしていくものです。あわせて今後の京都生協の平和のとりくみの更なる発展をめざします。
Ⅱ.平和についての基本的理念
私たちは、21世紀に至るまでの不幸な歴史と私たちの平和のとりくみの中から多くのことを学び、共通認識としていくべき価値や理念をつくりあげてきました。
1.私たち生協は、戦争によって生協の組織はもちろん生活や生命そのものまでも奪われてしまった経験から、「平和とよりよい生活」の理念を導き出しました。その理念のもとに京都生協は全国の生協とともに平和を守り、つくりだすとりくみを広げてきました。今後もこの理念を大切にしていきます。
2.私たちは日本国民として、過去の大きな反省の上にたってできあがった「日本国憲法の恒久平和の精神」を大切にします。
3.私たちは地球上に住む人間として、国際的に大切にされてきた価値観を尊重します。国連憲章に示される「武力行使の禁止」と「国際紛争の平和的解決」の基本原則を尊重し、一人ひとりの人間の生存、生活、尊厳を守ることを基本理念とした概念である「人間の安全保障」(資料4)、あらゆる形の暴力を否定し、対話や協力を通じて、生命を尊重し全ての人々の人権を守ろうとする概念である「平和の文化」(資料5)に深く学びます。
生活協同組合に集う私たちは、人々の生命やくらしが脅かされないこと、人間らしい生活が平和のうちに育まれることを大切にします。戦争や暴力のない平和な世界であってこそ、私たちは安全・安心な食べ物を手に入れることができ、豊かな生活文化を創造していくことができると考えます。
Ⅲ. 私たちの平和への願い
一人ひとりが人として大切にされ、安心してくらせること。それが私たちの望む平和です。
私たちは自分や自分の家族、私たちがくらす地域、そして日本だけでなく、地球上に住むすべての人々がみんな笑顔で くらせることを願っています。
戦争や暴力のない平和な未来を望んでいます。
Ⅳ.平和についての京都生協の基本的立場
1.紛争を解決する手段としては、武力の行使に頼るのではなく、あらゆる平和的手段が尽くされるべきです。
2.核兵器の悲惨さを体験した唯一の国にある生協として、核兵器は一刻も早く廃絶するべきであると考え、核兵器の保有、 使用、威嚇、開発、実験等は容認できません。
3.平和に関わる重要な問題については、組合員一人ひとりが主体的に判断できるように、学習し考えあうことを大切に します。
Ⅴ.平和な未来をつくるために、私たちにできること
平和はだれかが与えてくれるものではなく、私たち一人ひとりがつくっていくものです。
私たちは、身近なとりくみの一歩ずつを積み重ねることで、平和の大切さを学び、平和を願う人々の輪を広げていきます。それは、難しいことではなくて、家族との愛情を育んだり、まわりの人への思いやりから始まる一歩です。
私たちは、生命を大切にしくらしの向上を願う生協として、以下のようなとりくみをすすめていきます。
1.紛争解決の手段については、平和的手段を尽くすべきであるとする立場から、京都生協としてとりくみをすすめていきます。
2.核兵器の悲惨さを体験した唯一の国にある生協として、核兵器をなくすためのとりくみをすすめます。これまでも、核兵器使用の愚かさと核兵器廃絶の必要性を訴えるとりくみを、幅広い人々と共におこなってきました。こうしたとりくみは国内外の運動とも重なり合って世論を動かし、着実に核兵器廃絶の方向へと向かっています。核兵器がなくなる日まで、私たちはとりくみを続けます。
3.平和について組合員が学習し考えあう場づくりやそのための情報提供を行います。過去の被害と加害の歴史、そこから導き出された価値や理念に学びつつ、現状の平和の課題について学習し考えあいます。
ア.くらしの中から学びます。
今、くらしの中にある様々な問題に目を向けて学んでいきます。色々な角度から学ぶことで、何が問題でどうすれば良くなるのか、皆で考えながら、自分で判断する力をつけます。
イ.語り継ぎます。
人間はすばらしい歴史とともに、二度とこんなことがあってはならないという負の歴史もつくってきました。日本が犯した加害の歴史、ヒロシマ・ナガサキ及び沖縄の地上戦などによる被害の歴史について曇りのない目で見つめ、平和な未来をつくるために語り継いでいきます。
ウ.国内外で起こる平和をめぐる諸問題について学びます。
エ.「人間の安全保障」の考え方を支持し、ユニセフ活動などを通して、未来を担う子どもたちの生活基盤の確保・教育の推進を支えます。また、生命を尊重し全ての人々の人権を守ろうとする「平和の文化」を学び広げます。
以上