お祝いごとやパーティーの料理を華やかに彩る「エビ」。解凍するだけでおいしいエビが味わえるとあって、近ごろ人気急上昇中の「そのまま食べられるプリッとむきえび」をご紹介します。

「エビの下処理が面倒」
組合員の要望に応えて

子どもからお年寄りまで幅広い世代が大好きなエビですが、殻や背ワタを取る下処理が難しかったり面倒だと感じたことはないでしょうか。「手軽においしい生食のエビが食べたい」という組合員の要望に応え、日本生活協同組合連合会（日本生協連）が2011年に発売した商品が「そのまま食べられるプリッとむきえび」です。

タッグを組んだのは、タイ南部のラノーンに本拠地を置く水産加工会社SIFCO。大人気商品「サラダえび」の共同開発・製造を担う会社です。日本生協連水産部・竹延英嗣さんは、「常にいいものを作ろうという気概があり、信頼のおける大切なパートナー」と評します。

水揚げ当日に加工　
品質にこだわりと自信

原料のエビは、甘みがありソフトな口当たりのバナメイ種※1 。SIFCOの人工養殖池で、稚エビを3、4カ月かけて成体に育成します。餌は、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を使用し、成長の段階に合わせて配合を変えながら与えています。

養殖池で水揚げしたエビは、すぐに大量の氷をかけて鮮度を維持。そのまま池のそばにある自社工場へ直行し、同日中に加工するという早業！ 加工場ではまず数回にわたって洗浄。洗浄しながらエビの頭を取り除きます。次に背ワタを除去し、背中側に切れ目を入れた状態に加工します。その後、高温でサッとボイルし、殻むきした後に1匹ずつ並べ、一気に凍結。さらに真水にくぐらせて品質保持のための氷膜（グレーズ）※2をつけます。バラ凍結になったエビをパッケージに詰めて完成です。

注目は、人の手で丁寧に加工されている点と、塩のみを使用している点。保水剤※3などの添加物は使用していません。「保水剤を使えば、容易にプリプリとした食感のエビを作ることができますが、それではエビ本来のおいしさを味わってもらうことができないのです」と竹延さん。

「現地でパッケージに詰めた商品は、凍結状態のまま日本に輸出され、組合員のお宅へと届けられます。冷凍と解凍を繰り返すと品質は急激に下がります。産地一回凍結は、エビ本来のうま味と甘みを最大限に引き出すための策です」と胸をはります。

※1 ブラックタイガーと同じクルマエビ科で、中型ホワイト系。病気への耐性が強く、水中を泳ぐように生活する。日本には2000年代ごろから輸入され、急速に広まった。
※2 食材の鮮度を保つため、表面につける氷の薄い膜のこと
※3 水分を保持するために使用する食品添加物

安全・安心で高品質なむきえびをお届けするため、創意工夫を施した作業工程。定期的監査を行うなど品質の維持に努めています

コクのある味わいの万能選手　
解凍方法は必ず守って

「そのまま食べられるプリッとむきえび」は現在、需要の高まりを支えるために、インドネシアやベトナムでも生産しています。「7割はタイのSIFCO製。インドネシアやベトナムでは、タイの加工方法、食味と食感をお手本に取り組んでいます。商品の点検は、日本生協連の独自基準として、輸入の際コンテナごとにサンプリング検査を行っています」。

新鮮なエビを、素早く下処理して、プリッと感のあるちょうどいい状態に加熱し凍結。家庭では真似できない技を駆使した「そのまま食べられるプリッとむきえび」は、固定ファンの熱い支持はもとより、コロナ禍での〝おうちごはん〟ブームもあって大好評。解凍してそのままサラダやお寿司に使うことはもちろん、背中に切り込みが入っているので、調味料とも絡みやすく、パスタやエビチリなどの具材としてもおいしくいただけます。

調理の際は、パッケージ裏に書かれた解凍方法を必ず守ることがポイントです。エビ表面の氷膜（グレーズ）は水でサッと流してください。再冷凍はNGです。冷凍庫に常備しておけば、いつでも簡単においしいエビを食卓に出すことができます。ぜひ、お試しください。

海水を取り入れた養殖池。広さは、1つあたり0.5～2.0haあり、およそ20万～35万尾のエビが飼育されています

（左）エビに大量の氷をかけて鮮度を維持します
（右）1尾ずつ丁寧に背わたを取り、背の部分を切ります

異物、トリミング不足などを凍結前に１尾ずつチェックします

旨みを逃さないように急速凍結します

おいしい食べ方