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平和への想いをつないでいくために 私たちの戦争・被曝体験談平和への想いをつないでいくために 私たちの戦争・被曝体験談

「戦時中でなければ」も思い今も上京区 Y.Kさん

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麻疹で命を落とした幼い長男

もうすぐ行年5歳の長男の祥月命日です。
昭和18年、麻疹で寝ていた長男の様子が少し変なので、近くの病院に行きましたが、留守とのことで診てもらえません。町会長さんに紹介していただいた別の医者に行きましたが、数日後に亡くなりました。幼い長女にも感染しており、私の血を子どもに輸血してもらいました。その日は長男の葬式の日で、私は栄養不足と疲労と心配でフラフラになりながらお葬式を出しました。

医者も薬も不足

あとで位牌を誂えに行きましたら「麻疹ですか」と聞かれました。聞くと、「今、小児の位牌はほとんど麻疹ばかりです。戦争でお薬もないし、お医者様も少ないし」と言われました。「あぁ、あの児だけじゃなかったんだ」と少し気が安らぎましたが、当時中国へ応召していた主人には帰国の時まで言えませんでした。
戦争はもうたくさん。戦時中色々なことがありましたが、私には子どもをなくしたことが一番心に引っかかっています。