私の記憶だけで終わらせてはいけない舞鶴市 Oさん
- 伝聞
私の祖父は、アメリカのアラスカ州アリューシャン列島にあるアッツ島で戦死しました。日本軍がアッツ島を占領した翌年にアメリカ軍が上陸し、17日間の激しい戦闘の末に日本軍は玉砕したのです。祖父は兵隊ではなく電気技士として従軍していましたが、結局は戦闘に参加せざるをえなかったようです。
祖父の戦死を知ったとき、母は18歳でした。まだ復員できない長兄のかわりに家族の柱として一生懸命働きました。当時は女性が外に出て働くということをよく思わない人もあったようですが、立ち止まったりふり返ったりできる時代ではなかったそうです。
母は、祖父が健在だった頃、お給料日の夕飯がライスカレーだったと懐かしそうに話してくれました。そんなささやかな幸せも失ってしまう戦争は二度とあってはならないことだと思います。その母も8年前に亡くなりました。年々母の歳に近づくにつれ、私の記憶の中だけで終わっては、祖父と母に申し訳ないような気がしてペンをとりました。