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点検レポート

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産直産地の点検 原木しいたけ  福井道久さん (店舗のみ取り扱い商品)

  • 2020年08月24日
  • 産地点検

点検日 2019年11月12日

産直原木しいたけでお世話になっている福井さんの農園は、奈良県吉野郡東吉野村にあります。奈良県の南東部に位置し、近鉄電車の吉野神宮駅から東へ、車で30分くらい走った所です。雨が多く、昼夜の寒暖差が大きい山間地で、しいたけの栽培をされています。

1-農園周辺.jpgしいたけの栽培方法は2種類あります。ひとつは菌床栽培で、おがくずにふすま、米ぬか、水等を混ぜ合わせブロック状に固め、しいたけ菌を植えて栽培する方法です。もうひとつは原木栽培で、クヌギなどの自然木に、しいたけ菌を植えて栽培する方法です。

今回点検した産直「原木しいたけ」は原木栽培です。菌床栽培に比べると、手間ひまはかかりますが、独特の味わいと歯ごたえ、香りがあります。

2-原木しいたけ包装.jpg

店舗のみの取り扱いです。生産量の都合でお取り扱いの無い場合もございます。あらかじめご了承ください。

3月頃、新たに仕入れたクヌギやナラの木にしいたけ菌を植えて菌を行きわたらせ、榾木(ホダギ)をつくります。できた榾木は横に倒した状態で積み上げ、ブルーシートをかけて保湿します。ブルーシートシートの内部が20℃以上になって来たらシートを取り外し、毎日3時間ほどかけて散水します。


5月下旬から、風通しを良くするため榾木を立てます。

3-榾木の育成.jpg

榾木を立てた後も毎日散水し、11月頃になったらいよいよしいたけを発生させます。一旦榾木を水に浸けてから芽出し室に入れた後、発生舎へ移して並べます。ここまでおよそ8ヶ月かかります。


発生舎でしいたけを生やすのですが、温度・湿度によって、しいたけの育ち方・開き方に差が出るので、いつ、どのしいたけが収穫できるかイメージしながら、温度・湿度の調整をします。夏は5日、冬は10日程度で収穫できます。

4-椎茸の発生と接近写真.jpg


収穫が終わった榾木は、夏は木立の中、冬は床暖房のあるビニールハウスで休ませ、もう一度しいたけを発生させます。4年で7回ほど使います。

5-榾木の休養.jpg

なお、使い終わった榾木は、発生舎内の温度調整のためのボイラーの薪として利用されています。

6-発生舎のボイラー(使用済みホダギを使用).jpg

原木しいたけの栽培は、自然の力に任せてしいたけが生えるのを待っているだけのように見えますが、大変な重労働です。まず1本5~30kgもある榾木を、毎日1000本ほど移動させておられます。そして散水は新しい榾木だけでなく休養中の榾木にも必要です。毎日たくさんの水がいるのですが、必要な量を一度に引き込むことが出来ないので、昼から夜までずっと散水されています。また、発生舎の中は一番暑い時で40℃にもなります。時々外に出て体を冷しておられます。こうして原木しいたけは栽培されているのです。


選別、包装、出荷について点検しました。収穫したしいたけは出荷規格のもと、S寸(3cm)以上のものでパックされます。S寸以下のもの、形の悪いものは徳用としてパックされます。パック後は冷蔵庫で出荷を待ちます。

7-出荷規格と出荷待ち椎茸.jpg

【点検者の所見】
生しいたけを販売する際は、栽培方法を表示することが法律で定められており、必ず「菌床」か「原木」と表示されています。手間ひまがかかり、体力も必要な原木栽培のしいたけを、ご家族だけで生産されています。店舗のみでの販売ですが、香りのよい福井さんの原木生しいたけをぜひご賞味ください。

【産地からのメッセージ】
私たちは山間の清らかな空気と水に囲まれた中でしいたけを栽培しています。榾木の管理が行き届かないと、しいたけ菌以外の菌が入りこむ余地が生まれるので、いつも榾木が元気でいられるよう気を配っています。農薬は使いません。
しいたけの榾木は大変重く、労力がかかり、毎日の散水など育成に手間ひまもかかりますが、その分深い味わいと香りに結びつくと思います。

しいたけを焼いてしょうが醤油、または塩をつけて食べると美味しいです。天ぷらもおすすめです。是非ご賞味ください。

8-福井さんご夫妻.jpg



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