点検レポート
産直産地の点検 滋賀あきたこまち・特別栽培米滋賀こしひかり JA北びわこ
- 2021年05月19日
- 産地点検
点検日 2020年10月2日
産直滋賀あきたこまち、産直滋賀こしひかり(特別栽培米)を生産されているJA北びわこは、滋賀県長浜市をエリアとする農協です。琵琶湖に面し、秋から冬にかけては白鳥など渡り鳥の休息地となっています。北部は谷あいの山村が多く、積雪地帯になっています。
JA北びわこでは「北びわこ米生産基準」を掲げ、化学合成農薬・化成肥料の使用量を削減し、琵琶湖をはじめとする環境への負荷を削減する環境保全型農業に取り組んでおられます。あわせて滋賀県が推進する「環境こだわり農業」にも取り組んでおられます。
JA北びわこ「びわカントリーエレべーター」を点検しました。ここは、JA北びわこの組合員が生産したお米を受け入れた後、乾燥、貯蔵、籾摺り、出荷を行う場所です。
ここは、生産者が収穫した米を受け入れる場所です。網になっている所にお米を入れます。
カントリーエレベーターに入った後、お米は品種や栽培方法ごとに区別されるのですが、他の生産者の米と混合されるため、まず、生産者からお米を受け入れる前に、栽培記録(農薬や肥料の使用状況などがわかる記録)をJAの職員が確認します。農薬の使用方法に問題が見つかったり、品種・栽培方法の取り違えがあると、混合した米が使用できなくなる可能性があるためです。こうした作業がきちんと実施されていることを確認しました。
こちらは玄米選別機です。籾摺りの後に、未熟粒のほか小石も取り除きます。
お米の乾燥、貯蔵温度、湿度、籾摺りなどの基準、および作業の手順が定められていました。正しく実施されていることを記録などで確認しました。
場内は整理整頓、清掃され、きれいにされていることを確認しました。
カントリーエレベーターとは別の倉庫についても点検しました。
倉庫にあるお米の袋には品種などが記載されたラベルが添えられ、品種、栽培方法(特別栽培米など)ごとに区分けして保管されていることを確認しました。お米の品質を落とさないため、温度・湿度を管理されていること、倉庫内も整理整頓、清掃され、きれいにされていることも確認しました。
お米は鳥や動物のエサになるので、カントリーエレベーター、および倉庫へ侵入した痕跡がないか、また、侵入する余地がないか確認しました。虫についても、すみかになりそうな所がないか確認しました。
侵入防止のため、どの様な対策をとられているのかをたずねたところ、整理整頓と清掃をする、倉庫の扉は開ける時間をできるだけ短くする、ネズミ取り用の粘着板を設置していると伺いました。
お米や資材を運搬したり、機械を操作するのに危険が伴うため、正しくヘルメットをかぶる、機械に非常停止装置を設けるなど、安全対策について問題ないことを確認しました。
JA北びわこの事務所で記録や資料の点検をしました。
生産者や水田の台帳を確認することで、京都生協向けのお米を「誰が」「どこで」栽培されたのかがわかりました。
お米はJA北びわこの「北びわこ米生産基準」※をもとに栽培されており、栽培記録(農薬や肥料の散布状況など)を確認することで、生産基準に従って栽培されたことがわかりました。
また、生産者対象の研修会資料を確認することで、JA北びわこが生産者に対して、生産技術の指導・栽培上守るべき規範の啓発を行っていることがわかりました。
※北びわこ米生産基準・・・法律を遵守し、安全・安心な農産物を作るための手引きのようなもの。
【点検者の所見】
生産者に指導するにあたって、使用する農薬が適正か(米に使用しても良いか、何倍に薄めるか、何回まで使用できるか、など)は重要な事項の一つです。以前からされていることですが、指導のための資料を作る際には、行政の専門機関の技術監修も受けられています。
点検では、資料の内容に問題ないか、京都生協に提出された仕様書と一致しているか、栽培に使用された農薬が資料の通りか、などを確認しました。
【産地からのメッセージ】
美しい琵琶湖の水と調和した「環境こだわり農業」が私たちの米づくりの基本です。
"eat eco"="食べることで環境保全活動を応援してほしい"が私たちの願い。私たちのお米は、農薬や化学肥料の使用量を、滋賀県の慣行栽培比で5割以上削減して、栽培しています。
食べる人にもやさしく美味しい自慢のお米を、どうぞお召し上がりください。
JA北びわこのホームページへ → https://www.jakitabiwako.jp/
【JA北びわこでは子どもたちが食・環境と農業への理解を深めることを目的として、田んぼの学校を開いておられますので紹介します。】
滋賀の「環境こだわり農業」を通じて田んぼと環境とのかかわりを学習し、田植えから稲刈りまで、お米の栽培を体験します。安全・安心なお米を「つくる苦労・食べる大切」を学び、琵琶湖の「水環境の大切さ」を学びます。
田んぼに二ゴロブナ※の親魚を放して産卵させ、そこでふ化した稚魚を農業用水路から放流し琵琶湖に返しています。田んぼは、お米を生産する場だけでなく、水害の防止や多くの生き物を育む機能を持っていることを学習します。
※二ゴロブナ=琵琶湖固有種。古くから「ふなずし」の材料に利用。
※絶滅危惧種ⅠB類(野生での絶滅の危険性が高い。)
「植える・育てる・食べる」を、田んぼから家庭の食卓に上るまで一貫して体験・学習し、食農教育(食と農の距離を接近させること)で次世代に地域農業をつなぎます。
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