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点検レポート

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工場点検 京都生協コープ商品 精粉こんにゃく(黒)・精粉糸こんにゃく(黒)(白) ㈱若草食品

  • 2021年06月28日
  • 工場点検

点検日 2021年4月20日

京都生協コープ商品 精粉こんにゃく(黒)・精粉糸こんにゃく(黒)・精粉糸こんにゃく(白)を製造されている㈱若草食品は、奈良県北葛城郡広陵町にあります。
法隆寺から南へ車で約20分の位置です。

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商品名にある「精粉(せいこ)」とは、「こんにゃく芋の粉」のことです。
こんにゃくの歴史は古く、もともとは「こんにゃく芋」をすりつぶして作っていました。しかし収穫できる時期が限られている上に傷みやすいため、こんにゃく作りは「こんにゃく芋」の産地の近くに限られていたそうです。
江戸時代に、こんにゃく芋を乾燥し、粉にする技術が生まれたことで、一年を通じ、こんにゃく芋の産地から離れた所でも、こんにゃくが作られるようになりました。
今では、こんにゃく芋の保存技術により、生芋から作られたこんにゃくも販売されています。

今回点検した「精粉こんにゃく」「精粉糸こんにゃく」は、国産こんにゃく芋の精粉を使用し、登場から約40年のロングセラーです。
家族で食べた感想ですが、生芋こんにゃくは、歯が「サクッ」と入り、やや柔らかい感じで、精粉こんにゃくは、「プリッ」とした弾力が特徴的でした。
2020年には、食感(歯ごたえ)の改善、味のしみこみ具合の向上、こんにゃく臭を抑えることを目的に、リニューアルしています。ぜひご賞味ください。
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これより工場の点検紹介です。
工場へ入場する際は、専用の服に着替えて、体温を測定します。次に服にローラーをかけてエアシャワーを通り、服についた塵などを除きます。その後手洗い、手指を乾燥させてからアルコールを噴霧し、やっと工場の中に入れます。

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原料保管場所を点検しました。袋から国産こんにゃく芋の精粉が仕入れられていることを確認しました。
メーカーの方より「こんにゃく芋は、育てるのに3年かかります。仕入れる量が毎年変わるようでは、生産者が困ります。年間を通じて安定した品質のこんにゃく芋の精粉を確保するためには、買い付けも一定の量を維持(=こんにゃく商品の販売量を維持)するよう努めています。」と伺いました。原材料を計量する部屋を点検しました。

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原材料は配合表に基づいて計量され、専用のコンテナに投入されます。量を間違えないように2人で作業されています。専用のコンテナに移し替えることで、原材料の袋についている外からの汚れや塵を、製造現場に持ち込まないように工夫されています。

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長い筒の中で、計量したこんにゃく芋の精粉と水などを混ぜ、糊状にします(糊溶き)。
このまま工程を進めると、「白」のこんにゃくができます。一方「黒」のこんにゃくを作る時は、ここに海藻(アラメなど)の粉末を入れます。

古くから作られてきた「生芋をすりつぶして作るこんにゃく」は、芋の皮やアクによって茶色から黒っぽい色をしていたそうです。それが当たり前であった地域では、芋の粉から作った白いこんにゃくがあまり受け入れられなかったため、海藻の粉末で色をつけたものが作られるようになったそうです。

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糊状になったものを1時間ほど放置した後、練り機に送り、凝固剤を加えて「仕上げ練り」をします。
メーカーの方によいこんにゃくを造るためにこだわっておられることを、おたずねしたところ、「原料や使用する水の品質管理や、日々の製造ラインの洗浄等の施設・設備の整理整頓(5S活動)に地道に取り組んでおります。」と伺いました。

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精粉こんにゃく(黒)は、「仕上げ練り」の後、すぐに袋へ充填して板状にし、ボイルして固めます。

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一方、糸こんにゃくは、「仕上げ練り」の後、工場2階で、穴の開いた筒から押し出して糸状にし、お湯が流れているところに落とします。流れの終点は工場1階で、包装する時には固まっています。

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包装後、金属探知機を通して、金属異物がないことを確認します。機械が正常に動作するか、午前・午後の作業開始前と作業時間の中間、作業終了後に点検されています。

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最後に、包装に異常はないかなど、人の目で見て、手で押さえて検品します。製品をランダムに抜き取り、重量不足がないことをあらためて確認されています。

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さらに検査用に商品を抜き取り、品質管理の担当者によって、「賞味期限の印字が正しいこと。」「pHが基準内であること。」が確認されてから、出荷されています。

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製造現場を点検した後、製造記録、書類、原材料の産地証明書などの確認を行い、仕様書※通りに製造されていることを確認しました。ボイル時の温度も記録されており、基準通りに正しくボイルされていることも確認しました。
また、商品の賞味期限から、精粉の仕入れた日を調べることができます。こうした仕組みが構築されていることで、万が一、製品に問題があった場合でも、どこに問題があったのかを調査することができます。

※仕様書 ・・・ 原材料や製造方法、賞味期限など、商品の設計図にあたるもの。

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【点検者の所見】
2020年6月には奈良県HACCPを取得され、さらなる品質向上を目指して、衛生管理、異物混入対策に取り組んでおられます。新型コロナウィルス感染症の対策を実施しながら操業されている中、みなさん笑顔でしっかり挨拶されていることが、印象的でした。

メーカーからのメッセージ】
日頃はコープのこんにゃくをご利用頂き、誠にありがとうございます。
京都生協様とのお付き合いは1979年、生協のお店に始まり、約42年という長きにわたってご利用いただいております。この間、国産の原料使用、独自の製法へのこだわりに対して、ご理解とご支持を頂き、誠にありがとうございます。
組合員様への感謝の気持ちを忘れず、今後も安全・安心で食べて美味しいこんにゃくを、安定的に製造することに努めてまいります。

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(株)若草食品のホームページへ → http://www.wakakusa-shokuhin.co.jp/


「メーカーの方であればこそ知っている、こんにゃくのおすすめの食べ方はありませんか?」と伺ったところ、こんにゃくに下味(だし醤油等で)をつけて「天ぷら」にすると、食べてサクッと、中身はジューシーで、お子様にも好評とのことです。
「ちょっとひと手間いりますが、普段味付けして食べているこんにゃくの残りを、翌日天ぷらにするイメージです。」と伺いました。ぜひお試しください。


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