点検レポート
工場点検 京都生協コープ商品 紀州うす塩味梅干 黒松千年屋㈱
- 2021年11月19日
- 工場点検
点検日 2021年6月25日
※レポートの内容(パッケージなど)は、点検日当時のものです。
京都生協コープ商品「紀州うす塩味梅干」を製造されている黒松千年屋㈱は、和歌山県日高郡みなべ町にあります。みなべ町は和歌山県のほぼ中央部、太平洋に面し、南部川に沿って山間部へひろがっています。工場は南部川の河口近く、JR南部駅から車で約5分の位置にあります。
なお、みなべ町は梅の生産がとても盛んで、和歌山県内での生産量が一位。和歌山県全体の梅の生産量も全国一位です。
京都生協コープ商品「紀州うす塩味梅干」は、「梅干を食べたいが、塩分の取りすぎが気になる。」という声に応えるため、組合員の試食アンケートの結果も反映させて、2003年に開発されました。今年で20年近くになります。
製造の流れですが、和歌山県産の梅を塩漬けしたもの(梅干)を原料として仕入れ、砂糖・はちみつ・醸造酢などで調味しています。塩分は約8%です。(開発当時の京都生協コープ商品の梅干は、塩分約14%。)
原料となる塩漬けの梅干の倉庫を点検しました。(工場とは別の場所です。)
「紀州みなべ梅干生産者協議会※」の生産者が漬けたものを使用しています。
樽には協議会のラベルが貼られ、名称・原産地・等級・サイズ・原材料名などを確認できました。
また生産者の誓約書があり、「和歌山県外品の混入がないこと。」「表示と品質に相違ないこと。」「農薬の使用基準を遵守すること。」について約束されています。
※紀州みなべ梅干生産者協議会
和歌山県みなべ町で梅栽培、梅干の漬け込みをしている梅農家1140名が組織する団体。
これより工場点検の紹介です。
工場へ入場する際は体調の確認をしてから、専用の服に着替え、長靴をはきます。次に服の表面に粘着ローラーをかけ、手を洗って乾燥させた後、アルコール殺菌をしてから入場します。(製品を容器に詰める部屋の入口にはエアーシャワーもあります。)
こちらは原材料受け入れ口です。シャッターは二重になっており、工場内が直接外気にさらされない環境にすることで、外の塵や虫などが入る可能性を低くするように考えられています。
さらに工場内シャッター付近の照明を、黄色くすることで、虫を近づけない工夫をしていると説明がありました。
こちらは先ほどの原料倉庫から運ばれてきた塩漬けの梅干です。樽の内袋から出して、洗浄・塩抜き工程に入れます。
原料の塩漬けの梅干を樽から出す際、樽に貼ってあるラベルをもとに「いつ」「どこの生産者」が塩漬けしたものか、記録されていること確認しました。こうすることで梅干の品質に何か問題があった場合、製品から生産者までさかのぼることができます。
また樽の内袋の口を留めていた輪ゴムの数が、樽の数と一致するか後で確認できるように、記録されていました。
樽から出した塩漬けの梅干をまんべんなく広げ、水中に起こした泡で洗浄、塩抜きします。
水槽の中には磁石が設置され、金属を回収するしくみになっています。
水中の泡による洗浄、塩抜きが終わった梅干はコンベアで運ばれ、回転するブラシの上を通し、梅干の表面をきれいにします。
回転ブラシの上を通った梅干は、コンベアで運ばれながら目視で検品され、つぶれた梅干など不良品は取り除かれます。
コンベアの終わりにも、磁石が設置されており、金属を回収できるようになっています。
検品が終わった梅干は、底が網状になったトレーに並べられます。
トレーに並べられた梅干を専用のパレットに積んで、水切りをします。
ここから梅干の味付けに関する部分です。
味付けに使う、砂糖、酢、はちみつなどの保管場所を点検しました。
仕様書※通りの原料が仕入れられていること、整理整頓されていることを確認しました。
※仕様書 ・・・ 原料や製造方法、賞味期限など、商品の設計図にあたるもの。
こちらは仕上がった味梅干の上にのせる「もみしそ」です。国産の赤しそを塩と梅酢で漬けてあります。
梅干に味付けするための液(以降、調味液。)を作ります。原料となる砂糖、酢、はちみつを計量、混合し、漬け込み槽(調味液と梅干を入れて、味をしみこませる容器。)に入れて、梅干の漬け込みを待ちます。各原料を正しく計量した結果が記録されていることを確認しました。
水切りが終わった梅干をトレーごと、先ほどの調味液を入れた漬け込み槽に入れ、時間をかけて、ゆっくり(1週間以上)と味をしみこませます。
漬け込み槽の中から梅干を抜き取って、見た目、におい、味、食感、塩分などを検査し、問題ないことを確認してから、漬け込み槽から引き上げ、調味液が切れてから、容器に詰めます。つぶれたものなど不良品は取り除き、計量器で重量が基準内に収まっているか確認した上で、もみしそをのせます。
漬け上がった梅干を入れたら容器に蓋をし、再度、計量器で容器込みの重量が基準内になっているか確認した上で、金属探知機を通し、金属異物がないか確認します。
金属探知機を通したら、容器の上に商品名のラベル、底面に賞味期限など印字したラベルを同時に貼ります。印字した日付を作業指示書と照らし合わせ、正しく印字できているか確認されています。
賞味期限の印字が終わったら、目視で異常がないか確認しながら、出荷用の箱に詰められます。
最後に、見た目、におい、味、食感、塩分などの検査結果の記録に問題がないことを再度確認してから出荷します。
製造現場の点検終了後、製造記録、書類などの確認を行いました。「紀州うす塩味梅干」が仕様書通りに製造されていることを確認しました。
製造に関して、苦労されていることを伺ったところ、「昨年、和歌山県産の梅は大不作で、たまたま新型コロナウイルス感染症流行の影響で需要と供給のバランスが取れたが、今後、豊作が続かないと原料の梅干の在庫が安定しない。」と伺いました。生産者、製造者ともに、安定した量の梅が収穫されることを願っておられます。
【点検者の所見】
工場は、和歌山県版HACCPに取り組まれており、法律で義務化されたHACCPにも対応しています。また原料原産地の管理については、和歌山県産以外の梅が混入しないように製造順をその日の一番にしたり、もし和歌山県産以外の梅を使った商品の製造が先に発生した場合は、ラインの洗浄をして和歌山県産以外の梅がラインに残らないようにされています。また作業が進むごとに識別札付けて、他の産地の梅と間違わないようにするなど、管理を徹底されています。
【メーカーからのメッセージ】
弊社は創業80年をむかえ、日本一の梅の産地みなべ町に梅農園や製造工場を持ち、梅干・梅関連の商品づくりに精進しております。温暖な恵まれた風土・気候の中で生まれ育った最高級の梅「南高梅」を多くの方に味わっていただけるよう、本場の味づくりと「安全・安心」を守りながら日々努力を重ねております。
【メーカーの方よりおすすめの食べ方を教えていただきました。】
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