点検レポート

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工場点検 京都生協コープ商品 精粉こんにゃく(黒)・精粉糸こんにゃく(黒)(白)  ㈱若草食品

  • 2023年07月31日
  • 工場点検

点検日 2023年4月6日

 京都生協コープ商品 精粉こんにゃく(黒)・精粉糸こんにゃく(黒)(白)を製造されている株式会社若草食品は、奈良県北葛城郡広陵町にあります。法隆寺から南へ、車で約20分の位置です。

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 精粉こんにゃく・精粉糸こんにゃくは、国産こんにゃく芋の精粉※を使用し、登場から約40年のロングセラーです。2020年には食感(歯ごたえ)の改善、味のしみこみ具合の向上、こんにゃく臭を抑えることを目的に、リニューアルしています。ぜひご賞味ください。

※精粉・・・「こんにゃく芋の粉」のこと。読み方は「せいふん」または「せいこ」
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 こんにゃく製造の歴史は古く、もともとは「こんにゃく芋」をすりつぶして作っていました。しかし収穫できる時期が限られている上に傷みやすいため、こんにゃく作りは「こんにゃく芋」の産地の近くに限られていたそうです。
 江戸時代に、こんにゃく芋を乾燥し、粉にする技術が生まれたことで、一年を通じ、こんにゃく芋の産地から離れた所でも、こんにゃくが作られるようになりました。
 今では、こんにゃく芋を保存する技術があるので、生芋から作られたこんにゃくも販売されています。
 私、普段はこんにゃくと言えば「板」や「糸」など、形の違いしか気にしておりませんでしたが、「生芋こんにゃく」と「精粉こんにゃく」の違いが気になりました。それで家族と一緒に食べてみた感想ですが、生芋こんにゃくは、歯が「サクッ」と入って、やや柔らかい感じで、精粉こんにゃくは、「プリッ」とした弾力が特徴的でした。


 工場へ入場する手順です。まず体温を測定して記録し、専用の服に着替えます。次に粘着ローラーをかけ、服の表面についた塵などを取り除きます。鏡で服装の状態など、身だしなみに問題がないことを確認してから、エアシャワーを通り、服についた塵などを飛ばします。工場へ入ってすぐのところで手を洗い、ペーパータオルで手指の水分を取り除いてからアルコールを噴霧し、手指を消毒します。

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 原料の保管場所を点検しました。袋と産地証明書から「国産こんにゃく芋の精粉」が仕入れられていることを確認しました。
 原料の近くに、原料を汚損する可能性のあるものや、匂い移りするようなものがないことを確認しました。メーカーの方より「年間を通じて、品質が安定したこんにゃく芋の精粉を確保するため、買い付けは一定の量を維持するよう努めています。精粉のもとになるこんにゃく芋は育てるのに3年かかるため、精粉を買い付ける量が毎年変わるようでは、こんにゃく芋の生産者が困るからです。」と伺いました。

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 原材料を計量する場所を点検しました。
 原材料は製品ごとに示された配合表に基づいて計量され、専用のコンテナに投入されます。量を間違えないように2人で作業されています。専用のコンテナに移し替えることで、原材料の袋についている外からの汚れや塵を、製造現場に持ち込まないように工夫されています。

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 ホッパータンク(長い筒型のタンク)に、計量したこんにゃく芋の精粉と水を入れ、かき混ぜて糊状にします(糊溶き)。このまま工程を進めると、「白」のこんにゃくができます。一方「黒」のこんにゃくを作る時は、ここに海藻(アラメなど)の粉末※を入れます。

※海藻の粉末を入れる理由・・・
 昔、生芋をすりつぶして作っていた頃のこんにゃくは、芋の皮やアクによって茶色から黒っぽい色をしていたそうです。それが当たり前であった地域では、芋の粉から作った白いこんにゃくがあまり受け入れられなかったため、海藻の粉末で黒っぽい色にしたものが作られるようになったそうです。

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 糊状になった材料を1時間ほど置いてから練り機に送り、こんにゃく用凝固剤(石灰水)を加えて「仕上げ練り」をします。

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ここから精粉こんにゃく(黒)の製造工程です。

 包装用フィルムを袋状に組み立てたところへ、仕上げ練りをした材料を充填し、口を閉じて賞味期限を印字します。その後、袋の上から押えて平たくし、袋ごとお湯の中に入れて(ボイル機に入れて)固めます。
 固まるまでは柔らかく、形が不安定であるため、ボイル機の入口で側面を枠で支えます。続いて上から板で押えながらお湯の中をくぐらせ、板こんにゃくに仕上げます。

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湯から引き上げたら金属探知機を通して、金属異物がないことを確認します。

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ここから、精粉糸こんにゃく(黒)(白)の製造工程です。

 仕上げ練りをした材料を、目皿(穴が開いた皿)を通して糸状に押し出し、お湯の中に落として固めます。その後、お湯から引き上げて包装し、賞味期限を印字します。金属探知機を通して、金属異物がないことを確認します。

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 最後に、包装に問題がないか、人の目で見て、手で押さえて検品します。製品をランダムに抜き取り、重量不足がないことをあらためて確認されています。また製品検査室にもサンプルを送り、品質管理の担当者が「賞味期限の印字が正しいこと」「重量とpH値が基準内であること。」「色などの見た目・においに問題がないこと」を確認してから、出荷されています。

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 金属探知機が正常に動作するか、午前・午後の作業開始前と作業時間の中間、作業終了後に点検されていることを記録で確認しました。

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 賞味期限を正しく印字するための手順を確認しました。実際に包材へ印字したものを切り取って記録用紙貼ります。日付を設定した人と、もう一人の2名で、印字すべき賞味期限と見比べ、一文字ずつチェックをいれて確認されています。

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 こんにゃくは、作ってから時間が経つと、徐々に離水する(水分が抜ける)そうです。「賞味期限を迎えた時点でも内容量(重量)を下回らないようにするため、製造時点で多い目に充填している。」と伺いました。検査室にサンプルを残して、賞味期限が過ぎてから重さを量り、水分を除いたこんにゃくのみで内容量に達しているか確認されています。

 水は井戸水と上水道を使われています。毎年、法令で定められている貯水槽の清掃が行われていること、および井戸水の水質検査結果に問題がないことを、清掃記録や検査成績書で確認しました。

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 廃棄物の取り扱いや保管状況について点検しました。生ごみについては、微生物の働きを利用する「生ごみ処理機」を設置し生ごみの減量に取り組まれています。生ごみ処理機で処理できない生ごみや産業廃棄物については、法令に基づき保管されていることを確認しました。

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 製造現場を点検した後、製造記録、書類などの確認と、聞き取りを行い、仕様書※通りに製造されていることを確認しました。
 製品の賞味期限から、製造記録をたどり、精粉の賞味期限や仕入れた日まで調べることができました。こうした仕組みが構築されていることで、万が一、製品に問題があった場合でも、どの段階で問題があったのかを調査することができます。

※仕様書 ・・・ 原材料や製造方法、賞味期限など、商品の設計図にあたるもの。

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【点検者の所見】
 早くから奈良県のHACCP認証を取得されるなど、洗浄・殺菌等についての手順書を作成し、それに基づいて実施したことを記録されているなど、しっかり衛生管理について取り組まれていました。また、金属探知器や目視確認での異物混入対策、製品が適正に製造されているかをチェックする検査等、しっかり品質管理に取り組まれていることを記録や現場で確認しました。


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【メーカーの方がおすすめするこんにゃくの食べ方】
★こんにゃくの天ぷら★
 おでんや煮物などで味が染みたこんにゃくを、翌日天ぷらにして食べるとおいしいです。
 外はカリッと中はジューシーでお子様も食べやすいです。ひと手間かかりますが、ぜひお試しください。


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