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点検レポート

点検レポート

産直産地の点検 さくら卵・白卵 坂本産業株式会社 徳田農場・本社GPセンター

  • 2024年09月12日
  • 産地点検

点検日 2024年7月17日

 産直「さくら卵(※1)」「白卵」を生産されている坂本産業株式会社(以下、坂本産業)は、本社が岡山県笠岡市、農場が兵庫県・岡山県・広島県、GPセンター(※2)が岡山県・兵庫県にあります。

 ※1・・・日本に出回っている卵を産んでいる鶏のほとんどが外国産種である中、
      産直さくら卵は日本国内で育種されてきた「鶏種さくら」が産んだ卵です。
      国産鶏は採卵鶏全体の約4%といわれ、産直さくら卵を利用することで
      日本の農業を守ることにもつながります。

 ※2・・・卵を洗って殺菌し、サイズごとに選別後、包装(パック)する施設。
      坂本産業でパックされる産直卵は、宅配で配達しています。


 さくら卵などを出荷されている徳田農場(岡山県倉敷市)を点検しました。

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 防疫(※3)のため、農場に入る人は、入口で指定された服を着用し、農場内専用の靴を履きます。飼料運搬車など農場に入る車両は、「車両消毒ゲート」で消毒します。

 ※3・・・鳥インフルエンザをはじめとする家畜の伝染病を防ぐこと。

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 入場者、車両の防疫対策がとられていることを確認しました。


 鶏舎周辺の様子です。
 周囲の雑草は短く刈り取られ、きれいにされていました。防疫のためには「虫や動物の隠れ家」や「虫や動物が繁殖する場所」を作らないことが基本です。

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 鶏舎は鶏のケージがひな壇の様に配置された高床式で、下には糞が溜まる場所を設けています。
 野外の鳥が鶏舎内に入ると、鳥インフルエンザウイルスを持ち込む可能性があるので、鶏舎の側面には防鳥ネットが張り巡らされています。徳田農場の徳田農場長より「こまめにネットを掃除することで空気の流れがよくなります。またネットがやぶれたらすぐに補修します。」と説明がありました。

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 鶏は暑さに弱いことから、高温対策について徳田農場長に伺いました。
 「まず鶏舎のカーテンを開閉することで舎内の温度を調節します。追いつかない場合はファンを回して熱い空気を追い出します。さらに温度を下げる場合は、舎内にミストを噴射して熱を奪います。」と説明がありました。なお「鶏は暑くなってくると羽を膨らまし、脇を空けて熱を逃がそうとします。こうした状況が続くと鶏はへたって卵を産まなくなり、元の状態に戻すのに時間がかかるため、少しでも早く対策を打ちます。」と説明がありました。
 下の写真は鶏の飼育スペースの下の様子です。徳田農場長より「木質の繊維(※4)が敷いてあり、上から糞が落ちます。時々トラクターでかき混ぜて発酵させ、堆肥にします。」と説明がありました。

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 ※4・・・杉の木を圧力釜で蒸してほぐしたもの。


 集卵室を確認しました。
 卵はコンベアで集卵室に運ばれます。ヒビ、割れ、著しい汚れがある卵を取り除き、トレーに集め、輸送用のラックに積み込みます。集卵設備に損傷や蓄積した汚れはなく、きれいにされていることを確認しました。

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 徳田農場では後日、鶏種さくらを迎える予定で、隣の鶏舎では種の違う鶏も飼育されています。産直さくら卵は「鶏種さくら」が産んだ卵であることから、違う鶏種が産んだ卵と混ざらないようにすることが重要です。
 集卵作業における異種卵の混入防止対策についてヒアリングしました。
 まずさくら卵以外がコンベア上に残っていないことを確認してからさくら卵を集卵し、特定の色のトレーにのせます。トレーを積み込む出荷用のラックには、「採卵日・農場名・鶏舎名・通し番号」を書き、伝票とともに本社GPセンターへ出荷されています。

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 徳田農場長に今日集めた卵(鶏が卵を産みはじめた頃のもの)を見せていただきました。サイズは普段店頭で目にする卵より幾分小さいものでした。また目立って縦長の卵もあり、こちらは二黄卵(黄身が二つ入っている卵)の可能性が高いとのことでした。

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 新しい鶏(さくら)を入れるため、鶏舎の清掃作業をされていました。徳田農場長より「ケージは高圧空気など使って全ての段の汚れを除去し、最後に消毒します。鶏がいないこのタイミングで設備の補修も行います。」と説明がありました。清掃、消毒作業の記録もあり、およそ1週間はかかることがわかりました。

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 現場を点検した後、書類の点検をしました。

【農場の点検者所見】
 徳田農場に入る鶏種さくらを雛から育て、準備されていることを記録で確認しました。また毎日巡回して鶏や施設の状態を把握し、温度対策などをされていることを記録で確認しました。本社も農場の状況を把握し、獣医師の巡回、飼料の手配、薬剤や鶏舎の部品供給、設備の修繕などをされていることを確認しました。

【徳田農場からのメッセージ】
 点検に来ていただいた後の7月22日に、元気な「さくら」を約20500羽受け入れました。今では順調に卵を産み始め、サイズも大きくなってきています。鶏たちに快適な環境で過ごしてもらえるよう、日々暑熱対策や清掃を行っています。引き続き皆さまに安心安全な卵をお届けするために努力してまいりますので、ご愛顧いただけますと幸いです。

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 本社GPセンターを点検しました。
 京都生協産直「さくら卵」「白卵」をパックする施設です。

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 入室の様子です。
 従業員は制服に着替えて、入室記録に体調などをチェックした後、GP入室手順に従って入室されていました。(点検者など外来者は、玄関で訪問目的・体調など記帳し、指定された服を着用。以下従業員と同じ手順で入室。)

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 卵の入荷口です。
 今日入荷した卵の一部が並んでいました。ラックの側面には徳田農場で確認した通り、「採卵日・農場名・鶏舎名・通し番号」が記されていることを確認しました。

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 農場から卵を輸送した運転手が、端末機で農場や卵の種類、採卵日、ラックの台数などを登録し、卵専用の自動倉庫へ入庫させます。(ラックから卵が載ったトレーを取り出すところから自動。)GPセンターの社員が予定通りに卵が入庫したかを確認します。

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 卵を洗浄殺菌・選別する工程です。
 製造計画に基づいて自動倉庫から卵を呼び出し、洗浄殺菌装置へ送ります。洗卵殺菌することで卵の表面の汚れを取るとともに、サルモネラ菌による食中毒を防ぎます。

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 殺菌には次亜塩素酸ナトリウム(※5)が使われており、濃度が基準内になっていることを記録で確認しました。また水温も基準内になっていることを記録で確認しました。

 ※5・・・水道やプールの消毒にも使われるものです。

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 洗浄殺菌した卵を乾燥させた後、ひび・割れ・汚れがある卵を取り除きます。さらに「汚卵検査装置(主に卵の側面)」「ひび卵検査装置(卵にひびがないか確かめる装置)」を通して卵に不良がないか確認します。

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 続いて紫外線殺菌装置を通し、卵一つ一つの重量を測ったあと「血卵(血が混じった卵)検査装置」「汚卵検査装置(主に卵の両端)」を通し、サイズ別にトレーへ載せます。

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 トレーにのった卵は、自動倉庫へ一旦収納されます。

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 ここまでの工程を経て、やっと私たちに届けられる卵になります。


 卵をパックする工程です。
 自動倉庫から卵を出して、所定の重量になるよう卵パックに卵を入れます。この時も「画像解析による検査装置」で、ひび、割れ、汚れ、個数不足など不良がないか確認します。

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 次に品名・パック日・賞味期限などを記載したラベル投入し、パックをテープで閉じます。

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 最後に「画像解析による検査装置」を通し、ラベルの投入もれやテープの状態に不良がないかを確認します。


 合格した産直「さくら卵」「白卵」は出荷用コンテナに収め、出荷まで冷蔵庫で保管されます。冷蔵庫が10℃以下であることを確認しました。

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 書類の点検をしました。
 「製造室、自動倉庫、冷蔵庫」の温度記録、清掃の記録、施設設備の点検記録などがつけられ、水質検査結果からGPセンターで使われる水に問題ないことも確認しました。また、「鶏種さくらが産んだ卵」を「どこの農場でいつ採卵」し、「いつパック」されたのか、パックに入っているラベルの日付から製造の記録や伝票でたどれること(トレースできること)を確認しました。
 こうした仕組みが構築されていることで、万が一、製品に問題があった場合でも、どの段階で問題があったのかを調査することができます。

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 なお、「産直さくら卵」「産直白卵」のラベルには2次元バーコードがあり、スマートフォンなどで読み取ると、いつ、どこでパックされた卵か確認できるようになっています。(坂本産業での製造はありませんが「産直さくらこめたまご10個入」にも2次元バーコードがあります。)

【GPセンターの点検者所見】
 製造室や設備は清掃が行き届き、衛生的に維持されていることを確認しました。また工程ごとの作業手順書や問題があった時の対応手順などが整備、運用されていることを確認しました。
 前回の点検以降に画像解析による検査装置などを追加され、人による検品とあわせて不良品の発生を限りなく低くする努力をされていることがわかりました。

【本社GPセンターからのメッセージ】
 いつも産直「さくら卵」「白卵」をご愛顧いただきまして、ありがとうございます。当GPセンターでは、採卵農場から届いた卵を新鮮なまま、安全に商品化することを心掛けております。
 前回の点検以降、さらなる品質の向上・均一化を図るため、新たな検査装置を導入しました。引き続き徹底した衛生管理を行い、おいしい卵をお届けしてまいります。

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