点検レポート

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工場点検 京都生協コープ商品 ほうじ番茶(ティーパック) ひしだい製茶株式会社

  • 2025年07月04日
  • 工場点検

点検日 2025年2月13日

 京都生協コープ商品「ほうじ番茶」を製造されているひしだい製茶株式会社(以下、ひしだい製茶㈱)はお茶の産地として知られる静岡県の袋井市にあります。地元をはじめ全国から茶葉を仕入れて、ほうじ茶、煎茶などを製造されています。

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 京都生協コープ商品「ほうじ番茶」は、国内産※の茶葉を熱風焙煎し、渋みが少なく香り高い番茶に仕上げ、使いやすいティーパックにしています。1984年に誕生してから約50年にわたり、組合員の皆さまにご利用いただいています。ぜひご利用ください。

※現在、九州産の茶葉を使用しています。
※一袋にティーパック20袋入りです。

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ここから工場の点検です。

 工場に入場する時は、指定の作業服を着用し、粘着ローラーをかけて服の付着物を取り除きます。再度服装に問題ないことを確認してから手を洗い、ジェットタオルで水分を除去した後、手をアルコール消毒してから、エアシャワーを通って入場します。
 工場内は、いくつかの区域に分かれていますが、別の区域へ移動した場合も再度手洗いを実施して入場されていることを確認しました。

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原料の茶葉を混合する工程です。

 ほうじ番茶はいくつかの茶葉を組み合わせて作ります。茶葉の組み合わせ方には決められた比率があると思っていましたが「同じ産地でも茶葉の状態は毎回違うので、そんなに単純ではない」と説明がありました。実際には、茶師※の資格をもっている職員が茶葉の見た目や味、香りなどから品質を見極め、それぞれの茶葉の特徴を考えながら、商品ごとにいつも一定の味、香りになるよう茶葉の混合比を設計されます。この作業を合組(ごうぐみ)といいます。作業者は茶師の指示のもと、複数の茶葉を機械(合組機)に入れ、混合します。茶師の技術がとても繊細なことに、尊敬の念を抱きました。

※茶師・・・お茶を選定・調合・製品化する職人のことを指します。
      視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感に加え、経験や積み上げてきた知識を
      活用して作業されます。
       茶師には初段から十段まであり、全国茶業連合青年団が主催している
      「全国茶審査技術競技大会」に参加し、技術が認められると段位が与えられると
      点検中に説明がありました。
       ひしだい製茶㈱には最高位の十段の茶師がおられ、その技術を他の茶師へ
      伝えることにも力を入れていると説明がありました。

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 合組機から出た茶葉は、磁力を利用した金属検出器に通した後、機械(廻し機)にかけ、頭(あたま)と呼ばれる大きな硬めの茶葉を取り除きます。

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 次に風力選別機にかけ、小さい(軽い)茶葉を分別します。ここにも金属検出器がついています。

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 選別された茶葉は粉砕機にかけ、タンクを通って焙煎工程へ送られます。

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茶葉を熱風で焙煎する工程です。

 茶葉の状態、工場の湿度や気温は毎回違うことから、焙煎する温度や時間は細かく調整されています。(工場の方々は「茶葉は生き物」といわれていました。)

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 焙煎された茶葉は、焙煎工程近くにある拝見場※で官能検査が行われ、焙煎後の状態を確認します。(品質管理室でも官能検査が行われます。)

※拝見・・・茶の外観・手で触れた感触・香りによって、品質をチェックすること。

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 焙煎が終わった茶葉は、廻し機で一定以上大きな茶葉と茶の粉を分け、金属検出機に通します。作業前にテストピースを使って金属検出機が正しく動作することが点検されていました。

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 焙煎後の状態を確認した結果、合格した茶葉はムラをなくすため合組機で撹拌し、目視検査を行って異物があれば取り除きます。

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 目視検査が終わった茶葉は一旦袋に入れ、官能検査と成分分析が行われます。

 官能検査は、品質管理部の方が2人で「形状・色沢・香気・水色・滋味」※について評価されています。人の感覚に頼る検査のため、普段から訓練をしていると説明がありました。成分分析では、茶葉の比重、水分、カフェインなどの検査をされています。

※官能検査の5項目についてひしだい製茶㈱よりご説明いただきました。
 形状:茶葉の大小、大きさの均整がとれているか
 色沢:茶葉の濃薄、色合いの均整がとれているか
 香気:焙煎香の強弱、他の臭いがあるか無いか。
 水色:水色の濃薄
 滋味:こちらは5種類に分類されており、・・・
    「濃さ:味の濃淡」「旨味:強弱」「苦み:強弱」「渋み:強弱」「えぐみ:強弱」
                                   ・・・にて判断。

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 私も官能検査のうち、香気の評価を体験させていただきましたが、単純に「よい香りがする」としか表現できませんでした。茶師の方は、もっと具体的な言葉で細かく表現することを求められるので、あらためて難しい仕事なのだろうと思いました。


 官能検査と成分分析結果で合格した茶葉は注文に応じ、機械でティーパックに詰めます。続いて予め賞味期限を印字した包装袋にティーパックを入れます。

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 ティーパックが入った包装袋をシール機で閉じ、金属検出機、重量検知器を通します。もし不合格品(金属検出・重量過不足)があった場合は、自動で排除される仕組みがありました。作業前にテストピースを使って金属検出機が正しく動作することが点検されていました。

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 金属検出機・重量検知器の検査に合格したほうじ番茶は、箱詰めされます。

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 最終製品で再度官能検査を行い合格したもの、かつ、記録で製造工程に問題ないことを確認したものだけが出荷されます。

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 工場は整理整頓され、衛生的な状態であることを確認しました。

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 製造現場を点検した後、製造記録、書類などの確認と聞き取りを行いました。確認を進める中で、製品の賞味期限から製造記録をたどり、使用された茶葉が国内産(現在は九州産)であることや、万が一、製品に問題があった場合でも、どの段階で問題があったのかを調査できることを確認しました。また、焙煎の記録、金属検出機や重量検知器の動作確認記録も揃っており、内容についても正しく記載されていることを確認しました。

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【点検者の所見】
 製造現場で、国産の茶葉を熱風焙煎で仕上げ、複数設置されたマグネット・金属検出機・目視確認で異物混入を防止されていること、また、複数の検査員による官能検査や成分分析検査を行った上で出荷判定をされていることを確認しました。あわせて各種記録により、仕様書※通りに製造されていることを確認しました。
 従業員の方に「製茶」を行う上で苦労されていることをお聞きしたところ、「同じ製茶でも、ブレンドの比率や焙煎する温度、時間で微妙に味が変わってしまうので、毎日微調整しないといけないことです。」とおっしゃっておられました。

 点検中、従業員の皆さまが黙々とひたむきに作業されているのを見て、頭が下がる思いでした。

※仕様書・・・原材料や製造方法、賞味期限など、商品の設計図にあたるもの。


【ひしだい製茶よりメッセージ】
 ひしだい製茶は創業90余年を迎える静岡県のお茶製造会社です。当社のほうじ茶は年間通じて安定した味わいになるよう職人が丹精込めて焙煎を行っております。日常でご使用頂く商品であるため変わらぬ品質と味わいを維持することを心がけております。これからも変わらぬ味わいのお茶をお届けできるよう努めさせて頂きます。

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【ひしだい製茶より京都生協コープ商品「ほうじ番茶」のおいしい飲み方を
 教えていただきました】

「煮出し」・・・高温のお湯で一定時間煮出すことで、茶葉に含まれる成分を濃く抽出します。
        茶葉の濃厚な味わいと、香りを楽しむことが出来ます。

「漬け出し」・・・高温のお湯を注ぎ抽出する一般的な方法です。
         味わいは煮出しと同じですが、煮出しよりも緩やかに抽出されるため、
         好みの濃さに調整しやすくなります。

「水出し」・・・水を注ぎ、冷蔵庫で長時間抽出する方法です。
        苦み、渋み成分が抽出されにくいため、甘みや旨味を感じやすく
        すっきりとした味わいが楽しめます。

 暑い時期も、寒い時期も、ぜひ「ほうじ番茶」をお楽しみください。

 

 京都生協機関紙コーポロ2025年2月号「商品ものがたり」でも「ほうじ番茶」を紹介しました。あわせてごらんください。

コーポロ2025年2月号「商品ものがたり」へ


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