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「『プラスチック問題の現状』を知る学習会」を開催しました
- 2019年07月19日
- とりくみ・活動
7月9日(火)、京都テルサで日本生協連サステナビリティ推進部・小野光司さんと、琴引浜鳴き砂文化館館長・田茂井秀明さんをお招きし、「『プラスチック問題の現状』を知る学習会」を開催しました。
まず、小野さんによる「プラスチック問題の現状」の学習を行いました。
世界のプラスチック問題を取り上げた動画では、研究者が浜辺で死んでいる海鳥のお腹を開くと、餌と間違えて食べてしまったプラスチックが胃の中いっぱいに詰まっている様子が紹介され衝撃的でした。
軽くて丈夫なプラスチックは、丈夫だからこそ問題といいます。世界中で作られてきたプラスチック製品は、リユース・リサイクルされるものはほんの一部で、大半はゴミとして今もなお世界のどこかを漂っているということです。
<漂流ゴミ(プラスチック類のみ)の種類別割合>
参考:プラスチック資源循環戦略小委員会(第5回)プラスチックを取り巻く国内外の状況
世界では使い捨てプラスチックを減量に向けて、次のような動きが始まりました。
・イギリス:ストローやマドラーなどの販売を禁止(2020年4月開始予定)
・イタリア:生分解性でない綿棒を禁止(2019年から)
・フランス:容器の使用を原則禁止(2020年1月以降)
・欧州連合:ストローや食器などプラスチック製品の禁止を議会が可決(2021年から)
・サウジアラビア:ポリエチレンなどを使った一部製品の製造・輸入を禁止 など
2019年6月に閉幕したG20大阪サミットでも、海洋プラスチックについて2050年までにゼロにする目標を導入することを各国が合意しました。
日本でも国内で流通している年間約20万トンのレジ袋(推定)※2を、2020年の東京オリンピックを前に有料化を目指すほか、2030年までに使い捨て容器の25%削減や再生材利用を倍増し、2035年までに使用済みプラスチック100%を目指すなどの「3R」※3 と、植物由来素材の使用を進めます。
【参考】
※2 朝日新聞 五輪前のレジ袋有料化めざす日本
※3「3R」の3つのR1.Reduce(発生抑制)2.Reuse(再使用)3.Recycle(再生利用)
日本生協連でも、プラスチック ゴミ削減への取り組み強化の一環として、ペットボトルにラベルフィルムをつけない「CO・OPラベルのない水(あずみ野)」を2019年6月1日より取り扱いを開始しました。
次に、田茂井さんによる「京丹後琴引浜の漂着物の状況」を学習しました。
丹後半島の最北端、経ヶ岬の西に広がる琴引浜は「鳴き砂の浜」として、天然記念物及び名勝に指定されていますが、冬は季節風の影響で、日本海を漂うゴミが浜に寄せられます。
貝殻やクルミ、ヤシなどの木の実、流木やガラスの浮き玉は「ロマンのある漂着物」ですが、家電やタイヤ、網やロープ、釣り針などの漁具のほか、使い捨てライターや危険な注射器、薬ビンなどの「問題のある漂着物」もたくさん漂着します。ポリエチレン製品の原料であるレジンペレット、発泡スチロールの細片などのマイクロプラスチックも海鳥が魚の卵と間違えて食べ、問題となっています。
そこで地元では1994年の「第1回はだしのコンサート」から、「あなたの拾ったゴミが入場券」を合言葉に、漂着したゴミを拾い集めて種類や量を調査する「ビーチクリーンアップ活動」を開催しています。2019年はその功績が認められて、京都オムロン地域協力基金「京都ヒューマン賞」を受賞しました。
また、ゴミ漂着物問題は海外からも注目され、今年、香港から教育旅行の学生と先生が訪れ、地元住民交流も行われました。
プラスチックは私たちの生活に広く使われており、すぐに解決できる問題ではありませんが、解決しなければならないことでもあります。現状を学んで、自分たちの暮らしや社会を見つめ直す機会になりました。
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