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【教えて!森田さん 食の安全・安心】 最近話題の植物性たんぱく質

  • 2022年08月31日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】最近話題の植物性たんぱく質

たんぱく質といえば肉、魚などの動物性食品を思い浮かべますが、最近は大豆ミートなど、植物性たんぱく質を使った食品をよく見かけます。どのようなものか、見ていきましょう。

代替肉、代替乳など種類いろいろ

植物である豆類や、小麦にはたんぱく質が比較的多く含まれます。これらを原材料として、肉・魚に似せて作った食品は代替肉・代替魚などと呼ばれ、最近はプラントベース食品と呼ばれます。
日本では1970 年代から大豆たんぱくの開発が進み、粒状、繊維状などさまざまな形に加工され、肉の代わりとして商品化されてきました。
当時は「コピー食品」などと呼ばれていましたが、近年はSDGs 達成のために、畜産物よりも環境負荷が少ない食品として注目されています。
ベジタリアンやヘルシー志向の強い方に人気があり、海外ではアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点からも支持されています。
商品もハンバーグ、唐揚げ、キーマカレーなど豊富で、加工技術が進んでおいしくなり、身近になっています。

植物性であることが分かるように表示

こうした近況を踏まえて消費者庁は2011年8月、「プラントベース食品などの表示に関するQ& A」を公表しました。
※プラントベース食品に「肉」「ハンバーグ」「乳」「ミルク」などの文言を使用する場合は、植物性原料を使用したことが分かるように、消費者が誤解しないように表示をするルールを作ったものです。

というのも、これまで代替肉や代替乳は、まがいもののような位置づけで、「食肉以外のものについて、食肉であるかのように誤認される恐れがある表示」や「豆乳を使って『ミルク』『畑のミルク』などの表現により、牛乳と誤認される恐れがある表示」は、公正競争規約というルールで禁止されてきました。
今では植物性であることを強調して堂々と販売されており、消費者が間違えることはほとんどないと思います。
ルールが明確化され、植物性たんぱく質の食品をより選びやすくなったといえます。

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代替肉がさらに発展すると...

植物性ではありませんが、最近は代替肉として、培養肉、代替乳として細胞培養ミルクなども開発されています。培養肉は、少量の細胞を動物の体外で増やして肉にするもので、肉そのものを培養して増やします。
今はまだ実験室レベルですが、今後開発が進むにつれて、食品安全上のリスクはどうか、食品衛生上の規制を十分に検討してほしいと思います。

世界的に見ると、SDGs 達成のためにも持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠となり、私たちの暮らしの中でも植物性たんぱく質の食品を選ぶ機会が増えていくでしょう。
まさに食の未来に向けて、大きな転換点を迎えているようです。


消費者庁「プラントベース食品関連情報」
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/

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教えて!森田さん 食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。




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