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【教えて!森田さん 食の安全・安心】木の実類のアレルギー急増中 特にくるみに注意

  • 2022年09月29日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】木の実類のアレルギー急増中 特にくるみに注意

最近、木の実類による食物アレルギーが急増しています。
特にくるみはショック症状を引き起こすことも報告されており、近く食物アレルギー表示が義務化されることも決まっています。
なぜ、木の実類による食物アレルギーが増えているのでしょうか。

木の実類が原因食品の3位に

食物アレルギーの患者数は年々増加しており、どのような食品が原因となるのか、国は3 年ごとに全国実態調査を行っています。
2021年度の最新調査結果(症例数6,080 例)によれば、原因食品の1位が鶏卵、2 位が牛乳、3 位が木の実類でした。これまでは3 位が小麦でしたが、初めて木の実類が小麦を上回りました(図)。
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また、年齢別にみると木の実類は1~ 2 歳群で3 位(15.4%)、3 ~ 6 歳群で1位(27.8%)、7~17 歳群で2位(16.8%)で、子どもたちの中で明らかに増えていることも分かりました。

ちなみに木の実類とは「木になる種実類」で、ピーナッツは含みません。
症例数の内訳を見ると、くるみ463 例、カシューナッツ174 例、マカダミアナッツ45 例、アーモンド34 例、ピスタチオ22 例となっています。くるみの症例数が圧倒的に多いことが分かります。

ショック症状の症例数も多く報告されており、卵、乳に次いで3 位となっています。
特にくるみは58 例と、ピーナッツよりも多く報告されています。

健康志向で人気 素焼きミックスナッツ

くるみの症例数は2012年度調査では40件で、この10 年で10 倍以上に増加しています。その背景には、消費量の増加があります。
貿易統計によると、2021年のくるみの輸入量は10 年前の2.3倍です。
他の木の実類の輸入量も増えており、健康志向の高まりから、スーパー、コンビニなどでは、素焼きのミックスナッツなど多くの商品が並んでいます。おやつとしてそのまま食べたり、サラダに入れたり、私たちの食生活になじみの深い食品となっています。

かつて、バナナがブームになった時にも症例数増加が報告され、アレルギー表示の推奨品目になったことがありました。
食物アレルギーは、私たちの食生活の変化をも反映しているようです。

くるみの表示を義務化に 消費者庁で手続き進む

食物アレルギーの方のために、消費者庁は加工食品にアレルギー表示を義務づけています。
現在は7 品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)で、推奨品目は21品目(くるみ、アーモンド、カシューナッツ、ごま、バナナなど)です。
くるみは推奨品目ですが、消費者庁は22 年度中に義務表示に変更するように手続きを進めています。
一方、外食や持ち帰り弁当などは表示の対象外で、食物アレルギーの方はお店の人に確認するなどの注意が必要です。

消費者庁「令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf

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教えて!森田さん 食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。




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