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【教えて!森田さん 食の安全・安心】「お酒は適量に」の 適量とは?
- 2022年11月01日
- とりくみ・活動
【今月のテーマ】「お酒は適量に」の適量とは?
昔から「酒は百薬の長」と言われてきましたが、最近は飲むならば節酒を心がけて、1日あたり純エタノール約23g(日本酒1合ほど)程度までと言われています。
どのような根拠があるのでしょうか。
お酒は適量なら健康に良い?
飲酒については様々な疫学研究が行われており、厚生労働省のe ヘルスネットでは横軸に飲酒量、縦軸に健康リスクをとったいくつかのパターンを紹介しています(図)。
高血圧や乳がんなどは、飲酒量が増えるほどリスクが高まる正比例関係を示し(図a)、虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病は、「Jカーブ」といって全く飲まないよりも少量飲酒のほうがリスクは低いとするカーブ(図c)を示します。
よく「お酒は適量なら健康に良い」と聞きますが、これはJカーブのデータを根拠としています。とはいえ、J カーブは限定的であり、これをもとに健康に良いというのは注意が必要です。
Jカーブに疑問を投げかける論文も
最近はJ カーブを否定する説もあります。
2018年に医学雑誌ランセット誌に掲載された論文は、195 の国と地域でアルコールの飲酒量とさまざまな疾患のリスクや死亡率をトータルで検証した結果、「飲酒量が増えるほど健康リスクは高まる」と結論づけました。
この論文では、多くの疾患(高血圧、脂質異常症、脳出血、がんなど)で、飲酒量は少量でも健康リスクが高まり、世界中のデータを集めてトータルで見ると、量が増えるほど健康リスクが右肩上がりになるとしています。
なお、このグラフは1日あたり純エタノール1単位(10g 程度:日本酒1/2 合)の摂取では、非飲酒に比べてリスクはほぼ変わっていません。
こうしたデータもあり、国際的にも節酒が呼びかけられるようになっています。
国立がん研究センターも節酒のススメ
それでは、日本人のデータで「がん」という観点で見るとどうでしょうか。
国立がん研究センター(※)では、飲酒は食道がん、大腸がんと深い関連があり、1日あたりの平均アルコール摂取量が純エタノール量換算で23g未満の人に比べ、46g 以上の場合で40%程度、69g 以上で60%程度と、がんになるリスクが高くなるとしています。
純エタノール約23g とは、日本酒1合、ビール大瓶1本、ワインボトル3分の1程度です。
また、飲めない人が無理に飲むと発がんリスクが上昇するので、注意を呼びかけています。
お酒を飲むと気分が良くなり、食事もおいしくなるというメリットもありますが、健康のために
はほどほどを心がけたほうがよさそうです。
※国立がん研究センター公式サイト「がん情報サービス」
「がん情報サービス」科学的根拠に基づくがん予防
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
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執筆者PROFILE
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「教えて!森田さん 食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。
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