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【教えて!森田さん 食の安全・安心】トランス脂肪酸の 最新動向

  • 2023年01月24日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】トランス脂肪酸の最新動向

マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸が気になる、という声を十数年前からよく聞きます。確かに取り過ぎに注意が必要な成分で、食品業界ではさまざまな対応が進められています。

日本人の摂取量はかなり低いが...
トランス脂肪酸は脂質の構成成分である脂肪酸の1種で、植物油から固体のマーガリンやショートニングを製造する工程や、脱臭工程などで生じます。2000 年代に、トランス脂肪酸を取り過ぎると心血管疾患や冠動脈心疾患のリスクが高まることが明らかになり、注意が呼びかけられるようになりました。国によって規制は異なりますが、例えば米国は、トランス脂肪酸を含む水素添加油脂の使用を原則禁止としています。また、消費者の関心も高いことから、「Trans Fat Free」などの表示ルールもあります。

一方、わが国では2012 年に食品安全委員会がリスク評価をまとめ、日本人の摂取量は欧米よりもかなり低く、大多数がWHO(世界保健機関)の勧告(目標)基準であるエネルギー比の1%未満であり、健康への影響は小さいと結論づけました。ただし、日本人でも脂質に偏った食事をする人は、トランス脂肪酸の摂取量が多いので注意が必要としています。

日本では明確な基準など規制はありませんが、食品業界では製造工程の見直しを図る、原材料を見直すといったさまざまな低減策を講じています。例えば、かつてトランス脂肪酸含有量が多いとされ、注意が必要とされたマーガリンは、平成18・19年度はトランス脂肪酸がバターよりも高い数値だったのが、平成26・27年度はバターよりも低い数値になっています(表)。バターにも天然の動物性油脂由来のトランス脂肪酸が少量含まれており、それ以下の水準までマーガリンのトランス脂肪酸低減策は進んでいることが分かります。

今でもマーガリンについては不安の声が出されることがありますが、こうした情報が広がることで、正しい判断ができるようになっていくと考えます。

2023_02_copolo_anzen_anshin.jpg(参考)表の見方
平成18・19年度
20点のマーガリンを調査した結果、トランス脂肪酸含有量の中央値が100g中8.7g
平成26・27年度
46点のマーガリンを調査した結果、トランス脂肪酸含有量の中央値が100g中0.99g

飽和脂肪酸にも気をつけて
一方、食品のトランス脂肪酸の低減をすると、今度はその食品の、飽和脂肪酸が増加することも分かってきました。日本人は飽和脂肪酸の取り過ぎに注意が必要で、成人女性は半数が飽和脂肪酸の目標量を超えています。生活習慣病予防のためにはトランス脂肪酸ばかり注意するのではなく、脂質全体に注意をして、カロリーオーバーに気をつけたほうがよいでしょう。加工食品には栄養成分表示があり、エネルギー(カロリー)や脂質の表示が義務づけられています。こうした表示を参考にしつつ、バランスのよい食生活を送ることが心疾患の発症予防につながります。

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教えて!森田さん 食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。




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