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【食の安全・安心】なぜ起こるの? アニサキスによる食中毒

  • 2023年03月28日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】なぜ起こるの?アニサキスによる食中毒

アニサキスが原因の食中毒が増えています。
アニサキスとは寄生虫の一種で、幼虫は長さ2~3cm、幅0.5 ~ 1㎜くらいで白く太い糸のような形をしています。
サバ、アジ、サケ、イカ、イワシ、サンマ、カツオなどに寄生しており、調理の際に見つけたこともあるのではないでしょうか。

これらを生で食べると、生きた幼虫が胃壁や腸壁に侵入して突き刺さり、数時間後に激しい腹痛や吐き気などの症状を起こすことがあります。症状が激しい場合は、内視鏡の手術で幼虫を取り除くなど、治療も大変です。

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アニサキス食中毒は増加傾向にあり(表)、国の食中毒統計の件数で見ると近年は、年間300 ~ 500件以上発生し、他の食中毒を抑えて第1 位です。報告されていないケースも多くあると見られ、国立感染症研究所によると国内の推計患者は年間2 万人とも言われています。増加の理由は、流通の発展による生食の機会の増加、温暖化による影響など、さまざまな理由が考えられます。

酢や塩漬け、わさびでは死なない
アニサキス食中毒を防ぐためには、まずは生きた幼虫を口にしないこと。そのための注意点をまとめます。

【冷凍】幼虫は- 20℃で24 時間以上の冷凍で死滅します。自宅の冷蔵庫はこれほど冷えず、中途半端な冷凍では死滅しないので注意が必要です。

【加熱】70℃以上で加熱すると瞬時に死滅し、60℃でも数秒で死滅しますので、十分に加熱調理することも有効です。

【取り除く】幼虫は目で見える大きさですので、よく見て取り除くこともできます。特に内臓に多く寄生しており、時間がたつと筋肉に移動します。新鮮なうちに速やかに内臓を取り除きましょう。

なお、一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびをつけてもアニサキス幼虫は死滅しないので注意が必要です。

販売されている加工品は?
酢では死なないとなると、シメサバは大丈夫?と思われるかもしれません。一般に販売されているシメサバの多くは冷凍処理されたものが使われており、国の調査でも生きているアニサキスはほとんど検出されていません。一方、冷凍処理されていない生のサバ切り身からは、生きているアニサキスが多く確認されており、生で食べるのは食中毒のリスクが高いと言えます。サバ以外で、サケ、サンマ、アジ、イワシ、カツオではアニサキス数は少ない傾向が見られました。

アニサキス食中毒の防止のために、養殖技術を工夫して管理したり、食品流通業界では魚の処理時に厳しい目視検査などを行ったりとさまざまな対策が講じられています。家庭での対策も含めて、気をつけていきましょう。

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食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。




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