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【食の安全・安心】食料安全保障とは?
- 2023年05月30日
- とりくみ・活動
【今月のテーマ】食料安全保障とは?
世界中の食料の価格が高騰しており、その背景にはロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの影響、気候変動などさまざまな要因が挙げられています。こうした中でよく耳にするようになったのが「食料安全保障」という言葉です。どういうものでしょうか。
食料安全保障は平時も緊急時も
国際的に食料安全保障(フードセキュリティ)とは、「全ての人が、いつ、いかなるとき」も、「安全かつ栄養ある十分な食料」を入手可能である時に達成される状況のことです。*1 緊急時など万が一の際に十分な食料があることと思われがちですが、平常時も含みます。
日本も、国民に食料を安定供給するために、「国内の農業生産の増大」を基本としつつ、「安定的な輸入」「備蓄の活用」が重要としてきました。しかし、最近の世界情勢の変化から、2022 年12 月に「食料安全保障強化政策大綱」を公表し、2023 年度以降に対策をより強化していくことを決めました。*2 あわせて「食料・農業・農村基本法」の見直しも進められています。
食料安全保障の強化へ
政策大綱は、「食料安全保障強化のための重点対策」として、「肥料の国産化・安定供給」「飼料作物の国産化推進」を挙げています。日本は食品だけでなく、肥料や飼料も輸入に頼っていますが、ここ数年の不測の事態によって調達できなくなるリスクが高まりました。
また「水田を畑地にし、小麦・大豆などの本作化の推進」「食品ロス削減およびフードバンク支援」なども挙げています。また、農林水産業の分野でデジタル化を進める「スマート農業」「 輸出拡大」の促進、有機農業の拡大など持続可能な食料システムを確立していく「グリーン化」も展開していく方針が定められています(図)。
私たちにできること
現在は、当たり前のようにおいしいものを手に入れることができますが、それがずっと続くのでしょうか。政府の政策には消費者の理解が必要であり、私たちにもできることがあるはずです。
最初の一歩は食品ロスの削減で、まだ食べられるものを捨てないように、暮らしを見直してみましょう。次に、国産の食品の適正価格への理解です。いま、飼料や肥料がかつてないほど高騰しており、それが価格に反映できずに生産者を苦しめています。持続可能な農業経営ができるように、生産コストに見合った価格を理解し、日本の農家を応援することも、食料安全保障の一助になるでしょう。
20 年後、30 年後も、安全で栄養のある食品がきちんと手に入るように、食料安全保障対策は始まったばかりです。
* 1 国際連合食糧農業機関(FAO)
Policy Brief("Food Security" Issue2, June 2006)
* 2 食料安全保障強化政策大綱
(2022 年12 月27日 農林水産省)。
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「食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。
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