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【食の安全・安心】鶏肉の生食に要注意
- 2023年06月27日
- とりくみ・活動
【今月のテーマ】鶏肉の生食に要注意
「鳥刺し」「鳥のたたき」など、鶏肉を生で食べるメニューを飲食店などで見かけることがあります。九州の一部で食べられていたものが広がったようですが、鶏肉を生で食べることは食中毒のリスクが高く、飲食店での集団食中毒も発生しています。
鶏肉の生食、取り扱いには気をつけて
2022年度の食中毒統計によると、食中毒件数の第1 位はアニサキス(魚介の寄生虫)、第2 位が「カンピロバクター」という細菌による食中毒でした。このカンピロバクター食中毒の多くが鶏肉の生食・加熱不十分によって引き起こされており、鳥刺しなどの生食だけでなく、加熱不十分な焼き鳥なども原因食品とされています。
カンピロバクター食中毒になると、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状が出ますが、潜伏期間が1 ~ 7日と比較的長く、食べたことを忘れた頃に発症することもあります。この食中毒の怖いところは、後遺症でまれに「ギラン・バレー症候群」を引き起こすことです。手足のまひなどの神経症状、呼吸困難を起こすこともあり、子どもでも発症します。
鶏肉の生食による食中毒は「カンピロバクター」だけではなく、「腸管出血性大腸菌(O157、O111)」などが原因菌となる可能性もあり、いずれも少量の菌で食中毒を起こします。また「サルモネラ」も鶏肉の汚染率は高く、生食や加熱不十分が原因で食中毒が発生しています。鶏肉に「新鮮」「朝びき」などと書いてあっても、少量の菌で食中毒になる可能性があることを知っていただきたいと思います。
生食でなくても、鶏肉の取り扱いに注意
食中毒の予防のためには、中心部までしっかり加熱することが重要です。表面だけあぶっても肉の中心部にいる菌は死滅しないので、しっかり加熱しましょう。モモ肉など分厚い肉は火が通りにくいため、加熱した肉を切って中まで色が変わっているかを確認しましょう。
また、調理の際には手洗いをしっかりと行うこと、生の鶏肉を切った包丁やまな板はすぐに洗って消毒するなど、取り扱いに十分注意することで二次汚染による感染を防げます。調理前に生の鶏肉を洗うとシンクなど周辺に菌が飛び散りますので、洗わないでそのまま使いましょう。
なお、九州では鹿児島県や宮崎県で鶏肉に関して独自の基準があり、肉の処理方法や衛生管理を厳しく定めて生食用として流通しているものもあります。しかし、他の都道府県の飲食店の「鳥刺し」などがこの基準を満たしているかどうかは分かりませんし、メニューにあるから安全とは言えません。特に妊婦、子ども、お年寄り、体調の悪い方などは症状が重くなりやすいので、周囲も含めて注意が必要です。
社会的テーマから身近なテーマまで「食」の安全に関する情報を専門家が解説
「食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。
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