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【食の安全・安心】家畜のストレスに配慮 「アニマルウェルフェア」

  • 2023年10月24日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】家畜のストレスに配慮「アニマルウェルフェア」

「アニマルウェルフェア」という言葉をご存じですか?動物が生まれて死ぬまでの身体的・心的状態のことで、「動物福祉」とも訳されています。畜産業において家畜を快適な環境で飼育し、家畜のストレスを減らすことが重要であるという考え方のもと、国際的な取り組みが進んでいます。

5つの基本原則
アニマルウェルフェアの考え方は、1960 年代に英国で工業的な家畜生産を批判した活動家の提唱から始まります。英国では基本原則として、家畜の「5つの自由」(表)を定め、家畜が清潔で快適な環境で病気にならないようにすること、きちんと満ち足りた栄養が取れること、さらには恐怖や苦痛から解放されることなどに配慮するよう求めました。この原則がヨーロッパに広がり、これをもとに各国で法制化が進みました。

2023_11_copolo_anzen_anshin.jpg例えば採卵鶏の場合、日本では多くがバタリーケージ(小さなかご)に入れられ、鶏舎にケージが積み重ねられた状態で卵を産みます。一方、ヨーロッパではバタリーケージは禁止されており、平飼いなど自由に動き回れる環境で飼うよう配慮が求められます。

国際機関でも、5 つの基本原則が採用された、アニマルウェルフェアのための国際基準が作られ、日本でも対応が求められるようになりました。


消費者の関心が普及につながる
日本ではこれまで対応が遅れていましたが、2023年7 月に農林水産省が畜種ごとに指針※を公表し、普及に努めていくことになりました。

農林水産省の指針は、乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、馬の6 種類の指針と家畜の輸送、安楽死の合計8 つで構成されています。その内容は「この飼い方でなくてはダメ」と限定するのではなく、5 つの基本原則に沿って、飼い方に応じて推奨事項をまとめたものです。

例えば採卵鶏をバタリーケージで飼う場合でも、自然な姿勢で移動できる密度で飼うことなど、さまざまなチェック項目をクリアすれば、アニマルウェルフェアが改善できるとしています。このように日本の指針は、生産者それぞれができるところから取り組める内容となっています。ヨーロッパでは補助金などで生産者を支えていますが、日本は自主的な取り組みに任されており、この考え方を広めていく段階です。

最近では、アニマルウェルフェアの改善がSDGs実現のためにも重要と位置付けられ、社会的にも注目されています。私たちの食卓に並ぶ肉、卵、牛乳(もしくは乳製品)がどのように作られるのか、まずは関心を持ち、アニマルウェルフェアに取り組んでいる生産者を応援していくことが今後の普及にもつながっていきます。


※農林水産省「畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針」(2023 年7 月26 日)https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/230726.html


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