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【食の安全・安心】広告であることを隠す 「ステマ」 規制開始

  • 2023年12月19日
  • お知らせ

【今月のテーマ】広告であることを隠す 「ステマ」 規制開始

 商品やサービスを選ぶ時、有名人のコメントや個人の感想を参考にすることはありませんか?この中には、企業からお金をもらって宣伝しているのに、そのことを隠しているケースがあります。このように、広告であることを隠して宣伝する手法を「ステルスマーケティング(ステマ)」と言います。SNS などでの健康食品や化粧品の口コミで、よく見かけます。

 通常の企業の広告であれば、消費者はそれを踏まえて選びます。しかし、ステマの場合は第三者の感想だと誤解してしまい、自主的かつ合理的に選ぶことができなくなります。このため消費者庁は、2023年10月1日より景品表示法という法律でステマの規制を開始しました。

どんなケースがステマに当たる?
 ステマの規制は、法的には「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を不当表示に指定するものです。具体的には、「広告が広告主である事業者の表示であること」と、「広告であることが消費者に伝わらないこと」の2点を満たす場合を禁止しています。

 1点目の「事業者の表示」には、「事業者の従業員などが、認知度を上げるために第三者になりすましてSNS投稿などをする場合(なりすまし型)」と、「事業者が第三者に利益供与をして投稿などを依頼し、第三者が事業者の方針に沿った投稿などを行う場合( 利益提供秘匿型)」などがあります。一方、事業者が単なるプレゼントをした結果、第三者が自主的な意思に基づいて投稿する場合はステマには該当しません。

 2点目は、事業者に依頼された広告なのにそれを伝えなければステマに該当し、投稿に「広告」「宣伝」「PR」とはっきり書いてあればステマには該当しません。最近は、インフルエンサーなどの投稿に「これは広告です」とはっきり書かれているものも増えています。

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ステマに惑わされないために
 ステマが問題視されるようになった背景には、ネット広告が多様化し、SNS投稿など誰でも情報発信ができるようになったことが挙げられます。企業にとっては、ステマを利用すれば従来のテレビCMなどよりも安価で宣伝できます。一般の人にとっても商品を宣伝すればプレゼントやお金がもらえるため、軽い気持ちでステマ行為をしてしまいます。情報を受け取る側だけでなく、投稿する側もステマ規制に対する知識を身に付ける必要があります。

 ステマ規制は始まりましたが、認知度はまだ低いのが現状です。特に健康食品は、ブログやSNS でステマと思われる投稿も多く見られます。投稿で使用前後の写真を比較して効果を強調し、広告と書いていなかったため違反になった事例もあります。ステマによる宣伝手法は、通常の広告よりも効果が高いという実態もあるため、 特定のインフルエンサーや口コミ情報に惑わされることなく、内容を慎重に読み込んで自分自身で判断するように心がけましょう。

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