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【食の安全・安心】冬に注意 ノロウイルス食中毒

  • 2024年01月31日
  • お知らせ

【今月のテーマ】冬に注意 ノロウイルス食中毒

 食中毒は、高温多湿の梅雨から夏にかけて増えるイメージがありますが、冬にも発生します。特にノロウイルスによる食中毒は、空気が乾燥する冬に増えます。どんな点に気を付けたらよいでしょうか。

患者数が最も多い食中毒
 厚労省が毎年公表する食中毒統計によると、この20 年間で原因別で患者数が最も多いのがノロウイルス(2020 年を除く)で、半数近くを占めています。感染力が強く、給食施設などでいったん発生すると集団感染を起こします。年間の発生時期は 11 月~翌 2 月の 4 カ月間に集中しています。
 ノロウイルスは感染力が非常に強く、わずか数個~100個のウイルスで発症します。感染すると主に吐き気や下痢、腹痛、微熱の症状が出て、健康な人であれば1~3日で回復しますが、子どもや高齢者は重症化することもあります。
 感染経路は、ウイルスに汚染した食品(加熱不十分なカキや二枚貝など)を食べてしまったり、感染した人が調理などによって食品を汚染してしまったりなど、さまざまで、患者の嘔吐物からの2次感染で拡大することもあります。
 いったんノロウイルスにかかると、特別な治療方法はなく、脱水症状にならないように点滴などによる水分・栄養補給や、吐き気止めなどの対症療法になります。下痢止めの薬は、ウイルスを体内から排出することを妨げ、回復を遅らせることがありますので、できるだけ使用しないようにしましょう。

手洗いと消毒 2 次感染の予防も
 身近な予防方法は、日ごろからの手洗いがあげられます。特にトイレ使用後や調理前は丁寧に、せっけんを使って、指先、指の間、爪の間、手首も含めて30 秒ほど洗いましょう。
 もし感染してしまったら、家庭で感染を広げないための対策が必要です。患者の嘔吐物やふん便の処理や消毒が不十分だと、そこに大量に含まれたウイルスを吸い込んで感染する危険があるからです。
 ノロウイルスの消毒は、「次亜塩素酸ナトリウム」※含む、家庭用の塩素系漂白剤を使います。アルコールや洗剤は効果がないので注意しましょう。嘔吐物の処理は、2L の水に原液 40ml を入れて消毒液をつくり、嘔吐物に静かにかけ、ペーパータオルなどで覆った後ふき取ります。また、感染者が使った食器などの消毒は、2L の水に原液8ml を入れ、十分浸して消毒します。(図)
 ノロウイルスは他の細菌性食中毒と異なり、人から人ヘ 2 次感染します。家庭内で広げないように、特に注意が必要です。

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※家庭用の消毒剤の多くは次亜塩素酸ナトリウム水溶液5%で調整されていますが、濃度が異なることがあります。
(参考)広島県ノロウイルスによる食中毒のための啓発資料
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/169/noroshokutyudoku.html

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