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【食の安全・安心】マーガリンは体に悪いの?
- 2024年09月24日
- お知らせ
【今月のテーマ】マーガリンは体に悪いの?
かつては植物性で体に良いと言われていたマーガリン。最近はトランス脂肪酸が含まれるので体に悪いと思われがちです。しかし、メーカーはこの十数年でトランス脂肪酸の低減化に取り組み、今は心配には及ばないレベルにまで含有量が下がっています。
トランス脂肪酸のリスクと各国の規制
トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。加工油脂やそれらを使用した加工食品に含まれ、マーガリンなどを製造する工程や、植物油を高温にして脱臭する工程で生じます。また、自然界において、牛など( 反すう動物)の胃の中でもつくられ、乳や肉などにも含まれます。
長年にわたってトランス脂肪酸を過剰摂取すると、血液中のLDLコレステロール( 悪玉コレステロール)を増やすだけでなく、HDLコレステロール( 善玉コレステロール)を減らし、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクを増加させるという研究結果が報告されています。
このためWHO ( 世界保健機関)は、健康のためにトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるように目標値を設定しています。
トランス脂肪酸摂取量の多い欧米諸国では、トランス脂肪酸の含有量を制限し、表示をするなど対策を講じています。例えば米国では、トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を規制するなどの対策を行っています。
日本人はトランス脂肪酸の摂取量は少なく、平均値で総エネルギー摂取量の0.3%であることが分かっています。2012年3月に食品安全委員会が取りまとめた食品健康影響評価において、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられています。このため日本では、特別な規制は行われていません。しかし、トランス脂肪酸に対する消費者の不安の声を受けて、食品業界では低減のための取り組みを進めています。
トランス脂肪酸の低減が進んでいる
特にマーガリン類では、近年は製法などを変えることによって、大幅にトランス脂肪酸の低減が進んでいます。国によるトランス脂肪酸含有量の調査結果によれば、2006~2007年には100gあたり8.7gでしたが、2014 ~ 2015年には0.99gと、約1/9に激減しています( 表のファットスプレッドはマーガリン類の一種で、油脂含有率が80%未満のものをいいます)。これらは、バターに含まれる天然のトランス脂肪酸よりも低い値となっています。
最近のマーガリン類の売り場では、商品パッケージ上に「トランス脂肪酸の原因となる部分水素添加油脂を使用していない」や「トランス脂肪酸低減化の取り組みを行っている」といった表示で、消費者の安心につなげています。その一方で脂質に偏った食生活はやはり体に悪く、健康のためにもバランスの良い食生活を心がけましょう。
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