60周年

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大原千鶴先生の講演会を開催しました

  • 2024年11月05日
  • お知らせ

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 京都生協 創立60周年記念企画 

料理研究家 大原千鶴さん講演会

「京都の暮らしとシンプルごはん ~パパっと作ってきちんと食べる~」

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11月2日(土)京都リサーチパーク サイエンスホールにて、京都在住の料理研究家 大原千鶴さんの講演会を開催しました。

あいにくの雨模様にもかかわらず、会場には大原千鶴さんのお話を聞くために161人の組合員の皆さまが集まり、オンラインでも205 人の参加がありました。

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まずは、忙しい現代の食事情から。

食べるものがすぐに手に入るため、料理を作る習慣が薄れてきていること、カロリーはあるけれども低栄養の食事が増え、若い人のタンパク質不足などの問題が出てきていることが紹介されました。

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完全に戻るのは難しいけれども、「ちょっと昔の京都の暮らし=「始末の心」が現代のヒントになるのでは?」と大原千鶴さん。

「京料理は野菜料理。(ふだんの食事は)ほんの少しのお肉とたっぷりの野菜、そして豆製品(お豆腐、お揚げなど)でいいんと違う?」という言葉にハッとさせられました。

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講演会での大原千鶴さんの言葉より・・・

「料理は技術ではなく、気持ち。人に喜んでもらおうと思う気持ちが大事です」

「和食は、おいしさを油で補うのではなく、だしでうま味を出す料理なんです」

「料理を整えることで、自信がつきます。人に料理を作ってあげられるというのは、人の役に立っているという有用感を生みます」

「その人の味は、代わりのきかないもの。仕事は代替ができるけれど、料理のその人の味というのは穴埋めできないものなんです」

     ・・・

                                                       食品ロスの問題や、日本の食料自給率のほか、「バーチャルウォーター※」についてもお話がありました。

※食料を輸入して消費する国で、輸入した食料を自国で生産したと仮定したときに必要とされる水のこと。

1キログラムのとうもろこし(飼料用)生産には、1,800リットルもの水が必要です。

ハンバーガー1個に使われているバーチャルウォーターは、1,000リットル(お風呂4杯分)だそうです。

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「お料理を楽しもう」と、大原千鶴さんから料理が楽しくなるヒントもいただきました。

レシピを信じすぎず、鍋の中を見て!それがすべて

鍋の大きさも家庭によりさまざま。鍋の中の素材の様子、煮え加減などをしっかり見ることが大事です。

毎日のことだから、おいしさにあまり影響がなければ、省ける手間は省いてもOK。

「調味料や材料の種類、洗い物もできるだけ少なく、引き算の料理を心がけましょう。料理は段取りが八分」と大原千鶴さん。

・・・

家庭料理をさらにおいしくするポイントは、3つの「たて」。

ごはんは炊きたて、おみそ汁はできたて、魚は焼きたて

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「水だし」の作り方

水 1リットル、だし昆布 5グラム、混合削り節 10グラム を合わせて、3時間置く。中身の取り出しはお好みで。

(冷蔵庫で、夏場は2日、冬場は3日 保存可能です)

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そのほかに便利なものとしては、野菜は素材に合わせて、カットしたり、ゆでたり、水につけて保存しておくとよいそう。

ポテトサラダなどに少しきゅうりがほしいときも、1本まるごと冷凍しておくと、半解凍したときにちょうどよい具合にしんなりするのだとか(塩もみしたきゅうりの塩気がない状態)。

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最後に、みんなを幸せにするごはんについて、大原千鶴さんよりお話がありました。

「料理の組み合わせは無限。細かいことにとらわれず、シンプルに楽しむのがコツ」

「素材をよく見て、どう料理してあげるのが、その素材にとって幸せなのかを考えましょう。例えば、これから真サバがおいしい季節ですが、よく脂がのった真サバは生寿司や塩焼に、とか」

「ごはんは人生のセーフティネット。ちゃんと食べると幸せになるし、心が前向きになります」

「心のこもったごはんを食べることで、家から世の中全体、ひいては世界全体に、平和が広がっていくといいですね」と、大原千鶴さんは話を締めくくられました。

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質疑応答コーナーでは、率直な質問が飛び出して、会場が盛り上がりました。

「料理番組で作った料理は、全部食べておられるんですか?」

「お着物姿がおきれいですが、料理の油はねとか、染みとかがついたりしませんか?」

「先生のきれいの秘訣を教えてください。いつも何を食べておられるんですか?」など。

大原千鶴さんが立って、簡単に着られる着物の秘密を教えてくださる場面もありました。

                                                       【参加者の感想より】

・日々の食卓から地球環境のことまでとても素敵なお話でした。

・野菜の下準備や作り置きだしを難しく考えないで、時短として取り入れることができそうです。

・自分で作って毎日繰り返し食べることの営みの大切さを改めて感じ、自分ってすごいことをずっと日々続けて来たんだと前向きな考えになりました。

・子どもたちも巣立ち、夫婦だけになってからは料理も少しおっくうになっていた私でしたが、大原先生のお話を拝聴したおかげで「料理って楽しいんやわぁ!」って再認識しました。

                                                       主催:京都生活協同組合 協賛:コープ共済連

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