- ホーム>
- トピックス
トピックス
【食の安全・安心】ハム・ソーセージの安全性は?
- 2024年11月27日
- お知らせ
【今月のテーマ】ハム・ソーセージの安全性は?
ハム・ソーセージなどに用いられる食品添加物について、「食べても大丈夫?」と質問を受けることがあります。どのように安全性が守られているのか、くらしの注意点も含めてお伝えします。
発色剤・亜硝酸ナトリウムのはたらき
ハム・ソーセージなどの食肉加工品は、発色剤として亜硝酸ナトリウムなどの「亜硝酸塩」が使われることがあります。亜硝酸塩で原料肉を漬け込むと、肉の色素を固定し、ボツリヌス菌の増殖を抑える効果があります。
発色剤を使用しないで漬け込んだ商品もあり、こちらは「無塩せき」と表示されています。亜硝酸塩を使ったものと比べると自然な肉の色のみなので色味が薄かったり、日持ちする期限が短かったりします。
亜硝酸ナトリウムの安全性は国際的にもリスク評価が行われており、現状では「人の摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はない」とされています。日本では指定添加物として認可されており、食品衛生法で人の健康を損なうおそれがない量の使用基準が定められています。基準を超えないよう、食品メーカーはさらに低い濃度で添加します。国が行った摂取量実態調査をみても、安全性は確保されていることがわかります(※1)。
特定の食品を食べ過ぎず、バランスのとれた食生活を
一方、国際がん研究機関(IARC)は2015年11月、加工肉を「グループ1:ヒトに対して発がん性がある」に分類すると発表してメディアなどで取り上げられました。IARCは発がん物質のハザード(危害物質)について解析を行いますが、量の評価は行っておらず、これだけで「加工肉はリスクが高い」ということではありません。国際的に見ても日本人の加工肉の摂取量は多くはなく、ただちに加工肉をやめたほうが良いという話ではありません。
また、IARCでは亜硝酸塩を「グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類しています。亜硝酸塩は体内に入って、ある条件下で発がんリスク物質であるニトロソアミンを形成することが分かっています。しかし、亜硝酸塩は添加物として使われる量よりもはるかに多い量が野菜などに含まれています(※2)。農林水産省では、「ニトロソアミン類が含まれる可能性を理由に、特定の食品を食べるのをやめたり量を減らしたりせずに、バランスの良い食生活により、健康の維持や増進に必要な栄養の摂取を心がけてください」とアドバイスしています。
以上のように、国際機関における食品添加物のリスク評価では安全とされていても、IARCの分類を見ると心配してしまうこともあるかもしれません。気になる方は、表示を見て添加物が入っていないものを選ぶのも良いでしょう。安全性を摂取量の概念で見ること、加工肉にかかわらず特定の食品を食べ過ぎることがないようにすることが何よりも大切です。
※1 https://www.mhlw.go.jp/content/001071931.pdf
※2 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/
社会的テーマから身近なテーマまで「食」の安全に関する情報を専門家が解説
「食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。
バックナンバー