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【食の安全・安心】水道水に含まれる PFASの影響
- 2025年02月25日
- お知らせ
【今月のテーマ】水道水に含まれる PFASの影響
ここ数年、PFASという化学物質の名前をよく聞きます。水道水に高濃度に含まれると健康影響のおそれがある可能性が指摘されていますが、今後、どのように規制されていくのでしょうか。
PFASとは
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、1万種以上の物質があるとされています。1950年代から、水や油をはじき熱にも強い性質をもつことから開発が進み、焦げ付き防止の樹脂コーティングされたフライパン、食品の包み紙などの身近なものから、消火泡剤や金属・プラスチックの表面処理など多方面で使われてきました。
PFASの中でもPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきましたが、これらの物質は分解しにくく、環境中の残留や健康影響が懸念されて国際的に規制が進み、日本を含む多くの国で2010年から製造および輸入が徐々に禁止されています。
しかし、かつて使われていた物質が環境に残っている場所で、河川や土壌、水道水が汚染されるケースが徐々に明らかになってきました。
水道水の汚染の実態は?
このため、日本では2020年から水道水の暫定目標値として、PFOSとPFOAを合計した数値を50ng/リットル(ngは10 億分の1g)と定めました。暫定目標値を超過した水道は、2020年度は11( 検査を実施した事業者数869カ所)ありましたが、
年々減少し、2023年度は3(同1325カ所)になり、2024年度はゼロ(同1745カ所)でした※1。一方、検査実績がない水道事業が1368カ所あり、全国の汚染実態が分かっているわけではありません。給水人口で見ると、暫定目標値以下の水質の水道水が確認されている割合は、全体の98%になります。
NHKの「水道水のPFAS検出状況マップ」※2は、全国地図を色分けし、暫定目標値超過を赤で、暫定目標値以下の検出を黄色で示しています。どの地域でもクリックするだけで、検査年度と検出値、または検査未実施かどうかが分かるようになっており、参考になります。
PFAS「暫定目標値」から「水道基準」へ
水道水の検査については、現在の水道法では「暫定目標値」のため、検査が行われてこなかった現状があります。2024年12月、環境省は「暫定目標値」から「水道基準」に引きあげる方針を定めました。水道基準になると、自治体などは水質検査の義務や、基準を超えた場合の対応が義務付けられます。数値は暫定目標値と同じ50ng/リットルで、これは食品安全委員会のリスク評価を基にしたものです。
今後は規制が強化され、さらなる安全確保対策が求められています。
※1 環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について 」
https://www.env.go.jp/press/press_04025.html
※2 NHK「水道水のPFAS 検出状況マップ」
https://www3.nhk.or.jp/news/tokushu/20241201/pfasmap_water/?ear=2024#5/37.5/136
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