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【食の安全・安心】食の未来とフードテック
- 2025年09月23日
- お知らせ
【今月のテーマ】食の未来とフードテック
気候変動など食を取り巻く環境が大きく変わり、さまざまな課題をテクノロジーで解決しようという動きがあります。
大阪・関西万博でも未来の食を考えるコーナーがあり、培養肉や植物性たんぱく食品が紹介されていました。
私たちの食の未来はどうなるのでしょうか。
フードテックと代替たんぱく質
食の分野で持続可能性・健康・利便性を追求する革新的な技術は「フードテック(Food Tech)」と呼ばれます。例えば環境に負荷をかける食肉の生産にかわって、新しいたんぱく質として開発が進んでいるのが「代替たんぱく質」で、以下のものがあります。
・ 植物由来(プラントベース)
大豆やえんどう豆などからつくられた肉の代替品。大豆ミート食品のハンバーグなど、レパートリーも増えている。ビーガンやベジタリアン、健康志向の高い人に人気がある。
・ 培養肉(細胞培養)
動物の細胞を原料にラボなどで培養して育てる肉。諸外国ではチキンナゲットなどが販売されているが、日本ではまだ販売されていない。
・ 昆虫食
高たんぱく質で環境負荷も少ない。欧州では徐々に販売されており、東南アジアではコオロギなどが食材として販売されている。
この中で、大阪・関西万博では大学と民間企業の開発チームによる「培養肉」の紹介があり、鉄分やミネラルなど栄養分を加えたり、赤身や脂身を組み合わせて自分好みの食肉を家庭でつくることができることをアピールしていました。まさに未来の食卓をイメージする内容ですが、現在は安全性に関する規制の検討が消費者庁で行われているところです。今後、食品衛生法でガイドラインなどがつくられて実用化される予定です。また、会場では乳製品を使わずに、ジャガイモ・トウモロコシ・キャッサバといった植物をベースにした「アイスクリーム」の代替品や、米粉のチュロスも販売されていました。
スマート農業の分野にも
フードテックは農業の分野でも開発が進んでいます。例えばドローンによる農薬散布は既に実用化され、AI技術を用いた水や肥料の最適化で収穫量が向上しています。私たちの食卓に近いところでは、個人の健康状態にあわせてAIによるレシピ提案や栄養管理を行うサービスも出てきました。
品種改良分野では、地球温暖化が進む中で高温や干ばつに強い新しい米や農作物の開発が進んでいる途中です。
一方、新技術の安全性をどのように確保し、必要に応じて適切な規制や表示のルールを定めて消費者の理解を求めてゆくのか。新しい技術に不安はつきものですから、リスクコミュニケーションが重要になります。食の未来の大きな転換点に来ている中で、環境を守りつつテクノロジーとどう向き合うのかが私たちに問われていると感じます。
社会的テーマから身近なテーマまで「食」の安全に関する情報を専門家が解説
「食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。
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