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産直産地の点検 しもつみかん(温州みかん)・いよかん、はっさく、清見オレンジ、甘夏柑、ポンカン、ネーブル、不知火、すだち、レモン、キウイフルーツ / 農事組合法人しもつコープファーム
- 2025年03月20日
- 商品
点検日 2025年1月10日
しもつコープファームと産直のはじまり
1970年代、みかんの生産量が過剰になって価格が下落する中、自ら販路を切り開こうとされた生産者と京都生協の産直活動が結びつき、1981年にしもつコープファームの前身である「下津農民組合」との間でみかんの産直が始まりました。以来約40年余りにわたり、組合員に供給し続けてきました。今はしもつみかん(温州みかん)の他、いよかん、はっさく、清見オレンジ、甘夏柑、ポンカン、ネーブル、不知火、すだち、レモン、キウイフルーツ、茂木びわも産直商品として取り扱いをしています。
しもつコープファームは、和歌山県海南市下津町にあります。西側には海(紀淡水道)、他は山に囲まれ、柑橘類の栽培が盛んな地域で、山畑※1と平畑※2が数多く並んでいます。(庭にみかんの木が見えるおうちがいくつもあり、みかんの町というイメージが一層強くなりました。)
※1 山畑(やまはた)・・・山の斜面にある果樹園
※2 平畑(ひらはた)・・・平地にある果樹園
平地にある上森さんの甘夏柑の果樹園を点検しました。
園地は「珊瑚樹」の生垣に囲まれていました。理由をしもつコープファームの職員にたずねると「風がふくと葉や枝が実に擦れて傷つくことがあるので生垣を設けている。生垣も植物なので成長したら刈込むなど世話が必要なことから、防風ネットを使う生産者もいる。生垣や防風ネットの有無は各生産者の判断による」と説明がありました。
となりにセミノールの果樹園もありました。
こちらは果樹全体がネットで覆われていました。しもつコープファームの職員より、「このネットは野鳥の被害を防ぐために張っている。ネットの有無は、各生産者の判断による」と説明がありました。
しもつコープファームの職員に今年の出来について伺ったところ「今年は全国的に不作といわれている。さらに裏年※3でもあるが、和歌山県は豊作の傾向にある。」と説明がありました。苦労されていることを伺ったところ「5月にカメムシが大量発生した。また、雨が多かったため、そうか病(実の表面がぼこぼこになる)が発生した」「干ばつにあい、収穫シーズン初期は小粒が多くなった。つまり同じ個数でも小さければ、重さ(収穫量)が減ってしまう」「10月には雨が多くなり収穫が遅れることがあった。結果として一部欠品になってしまった」など説明がありました。
栽培に苦労されている中、実際には色づき・大きさが程よい「甘夏柑」「セミノール」が数多くなっているのを見せていただきました。園地に不要なものはなく、きれいに維持されていることを確認しました。
※3 表年・裏年・・・柑橘類は自然に実のなる数が多い年(表年)と少ない年(裏年)を繰り返す傾向にあります。
山にある果樹園も見せていただきました。
下の写真は、山にあがる途中で撮ったものです。比較的に傾斜が急なところにも園地が広がっていました。これから向かう場所はさらに上(★印の位置)で、園地を昇り降りする階段も見えました。ここを肥料などの資材や収穫物を歩いて運ぶことを想像するだけでも、大変な作業であると感じました。
山の果樹園につきました。
目の前には下津町の町並みがひろがり、先ほど点検した果樹園が小さく見えました。あらためて高い所にいること(果樹園があること)を実感しました。
このあたりの果樹は収穫が終わっていました。先ほどの園地と同じく不要なものはなく、きれいに維持されていることを確認しました。防風のため、「槇」の生垣が設けられていました。
みかんの貯蔵施設(蔵)を見せていただきました。
柑橘類にはクエン酸と糖が含まれていますが、時間が経つ(蔵で寝かす)とクエン酸が先に分解されて、酸味と甘みのバランスが変わり、よりおいしく感じるそうです。一般的にはいよかんや甘夏柑など晩柑を寝かすことが多いのですが、下津では酸も糖も比較的に高い木成り完熟の温州みかんがあり、蔵で寝かしてから「蔵出ししもつみかん」として出荷されています。(毎年1月中旬より出荷予定。)
山に貯水槽がありました。ためた水をポンプで送水し、果樹にやります。近くに豊かな水源はないので、水が不足する場合は山のふもとから運ぶ必要があります。すぐそばには移設可能な用水タンクを置く園地もありました。
選果場を点検しました。
生産者から出荷されるみかんは、先に栽培記録を確認し、農薬の使用状況などに問題ないことを確認してから選果場へ受け入れられていることを確認しました。
受け入れたみかんは、生産者・種類ごとに計量して選別ラインへ投入し、目視で不良品を取り除きます。
次に選別機を通し「傷などそのまま販売するのに向かないみかんの判別」「サイズの判別」をします。
選別機の判別結果に基づいて「そのまま販売するのに向かないみかん」とサイズごとに分けられます。
「そのまま販売するのに向かないみかん」の内、内部に問題ないものは加工用(例えばジュース用)として出荷されます。
こちらは京都生協へ向けて出荷されるみかんです。札を貼り付けるなど他のみかんと混ざらないように管理されていることを確認しました。
施設や選果機に損傷はありませんでした。周辺も整理整頓され、清掃状況に問題ないことを確認しました。
フォークリフトは法定の点検・検査されていること、運転は資格を持った人がヘルメットを着用して行っていることを確認しました。
事務所で書類の点検をしました。
しもつコープファームでは、和歌山県の慣行基準※4に対して、農薬、化学肥料の使用量を減らして栽培されています。仕様書と生産者台帳、栽培記録などを確認し、残留農薬検査の結果も含め、農薬の使用状況に問題ないことを確認しました。
出荷後、何か問題ある場合は「出荷伝票」から生産者を特定し、栽培記録がたどれる状態であることを確認しました。剪定講習会、総会、また、出荷説明会を温州みかんで2回、晩柑類で2回(柑橘類の良・不良、サイズなどの収穫から出荷までの基準を確認する)、反省会などをしていると説明があり、生産技術の維持・向上に努められていることがわかりました。
※4 慣行基準・・・各地域の慣行的に行われている農薬及び化学肥料の使用状況
【点検者の所見】
「びわ」や「温州みかん」は別途点検があったため、今回は産直甘夏柑・セミノールなど「晩柑類」について、栽培計画・栽培記録・施設管理を中心に点検しました。各種帳票の記載内容に問題ないことを確認しました。また、農薬の使用状況についても問題なく管理されていることを確認しました。
【しもつコープファームからのメッセージ】
いつも「しもつみかん」をご利用いただき、ありがとうございます。1980年に母体である下津農民組合を設立するとともに、京都生協と産直を開始してから45年が経ちました。設立のころ、全国の「みかん」の生産量は約350万トンでしたが、近年の生産量は約60万トンと、ほぼ1/6になってしまいました。
高齢化で担い手が減少する中、異常気象で栽培も難しくなってきているこのごろですが、安全・安心で美味しい「みかん」をお届けできるよう、生産者・職員一同、励んでまいります。
引き続き、「しもつみかん」をよろしくお願いいたします。
前日(1月9日)に、しもつコープファームのある海南市下津町の南隣、有田川町の「有田コープファーム」を点検しました。こちらの点検レポートもぜひご覧ください。
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