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【食の安全・安心】食品のトレーサビリティ

  • 2025年05月27日
  • お知らせ

【今月のテーマ】食品のトレーサビリティ

 トレーサビリティという言葉を聞いたことはありますか?トレース(Trace:追跡する)とアビリティ(Ability:能力)の2つの用語を組み合わせてできた言葉で、「追跡可能性」とも訳されます。消費者にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

食品関連の各段階で記録・保存を
 食品分野におけるトレーサビリティは20年以上前からその重要性が認識されており、国際的な食品規格などを定めるコーデックス委員会では、その定義を「生産、加工および流通の特定の一つまたは複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること」としています。
 具体的には、食品の移動ルートを把握できるように生産から各段階で食品を取り扱ったときの記録を作成・保存しておくことです。きちんと記録が保存されていれば、食品事故などの問題があったときに食品の移動ルートを特定でき、原因がどこにあるかが分かり、商品回収などを円滑に行えます。
 例えば、ある事業者の製品で食中毒が発生した場合、原因はどこにあるのか、原料が汚染されていたのか、工場の取り扱いが悪かったのか、流通段階の温度変化かなど、それぞれの段階で記録をつけていれば原因が分かります。しかし、原料の産地や生産者の記録がなかったり、工場の衛生的な取り扱いの記録がなければ、食中毒の影響がどこまで広がるのかも分かりません。
 このように、食品の移動を把握するために、それぞれの段階で入出荷の記録をきちんと作成し、保存することが食品関連事業者に求められます。また、何かあったときに保存した記録を直ちに取り出せるように整理しておくことも重要です。かつては帳簿や伝票の控えなど紙媒体で管理されていましたが、現在はデジタル化が進み、バーコードや二次元コードで管理する仕組み化が進められています。

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牛トレサ法、米トレサ法など法制化も
 既に、トレーサビリティが法制化された食品もあります。牛トレーサビリティ法は、BSE発生時の消費者の不安を受けて、牛を個体識別番号で一元管理して、生産から流通、消費の各段階で番号を正確に伝達するために、2003年に公布されました。生まれた牛にはすぐに耳標がつけられ、消費者の手元の牛肉となるまでその番号が伝達されます。よく牛肉のラベルに「個体識別番号」として記載されている10桁の番号は、独立行政法人 家畜改良センターのWEBサイトの項目に入力することで、牛の出生地、生年月日、雌雄の区別など、さまざまな情報が分かります。
 米に関しても米トレーサビリティ法が2010年より公布され、産地情報の伝達が可能となっています。このように、トレーサビリティによって生産者、加工者、流通事業者などの情報が確実になり、食品の安全が確保されています。
 生協の商品は、産地や生産者の顔が見えるものを多く取り扱っており、こうした取り組みも食の安心につながっています。

参考:農林水産省「トレーサビリティ関係」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trace/

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