60周年

農薬について

1.農薬とは

農薬は『殺虫、除草、菌を殺す』などの目的で使用されています。

農薬を使用する場合、法律で決められた通りに使用することが義務づけられています。
たとえば、「どんな作物に使用できるのか」「何倍に薄めて使用しなければならないのか」「農薬をまいた後、収穫してはいけない期間」などです。
正しく農薬を使用することで、安全な作物を生産することができるのです。

2.農薬は必要?

農薬を使用しないとどうなるのでしょうか?

【表1】を見てみてください。作物によって差はありますが、農薬を使用しないと収穫は確実に減ることがわかります。
これは、日本の風土が高温多湿なため、病気や
害虫が発生しやすい環境にあるからです。
「流通できる農産物」が消費者に行き渡るように、農薬を使用することで生産性をあげています。

【表1】実証実験に基づく減収率

農産物

調査
事例数

減収率(%)

平均値

水稲

14

24

小麦

4

36

大豆

8

30

りんご

8

97

もも

4

70

キャベツ

20

67

きゅうり

5

61

トマト

7

36

だいこん

12

39

数値は1990~2006年の試験結果のまとめ(社)日本植物防疫協会 シンポジウム「病害虫と雑草による影響を考える」講演要旨 (2007年)

3.農薬の安全性は?

農薬の安全性はどのように確認されているのでしょうか?

農薬は様々な試験を行い安全性が確認されています。
たとえば、「病気や害虫への効果はどうか」とか、「作物への残留性についてはどうか」とか、
「人畜水生動植物への毒性についてはどうか」などの確認が行われます。
こうした試験に合格して初めて農薬として使用できるようになるのです。

4.作物に残っていてもいい農薬の量は(残留農薬)?

作物に一定以上農薬が残留すると、人に対して悪い影響を与えることがあります。

そこで食品安全委員会は、多くの試験結果から人の一日許容摂取量(ADI)を定めています。
これは人が、食品を介して農薬を一生涯にわたって毎日摂り続けても、健康への悪影響がないと考えられる一日当たりの摂取量の上限の数値です。
国民栄養調査によって調べられた食生活(日本人の平均的な食事)をしたとしても、ADIを超えないように農産物等に含まれていてもいい農薬の量(残留農薬)が定められています。
正しく使えば残留基準を超えないように、希釈倍率、散布量、使用回数などが定められ、農薬の容器等に表示されています。

5.日本の残留農薬基準は厳しい?

2006年までは、残留農薬基準が設定されていない作物がありました。

そのため、作物にどれだけ農薬が残留していても規制をかけることができない作物がありました。しかし、現在、日本は残留農薬基準にポジティブリスト制を導入し、すべての作物に対して農薬の残留基準が設定されています。
基準がないものには、国際基準等をあてはめ、それでもあてはめることができないところについては、0.01ppm(※)という基準(一律基準)をあてはめました。

※0.01ppmとは25メートルのプールに農薬を数滴おとしたくらいの量です。

6.農薬についての考え方

  • (1)農薬は農産物の量・質を確保するために必要と考えます。ただし、法律に沿って使用するとともに、生産者の安全や環境に配慮するという観点から、使用はできるだけ控えることが大切と考えます。
  • (2)自主基準は設けず、ポジティブリスト制度の基準を適用します。
  • (3)産直農産物については、産直基準に基づいた管理をおこないます。具体的には産地を訪問し栽培時に正しく農薬が使用されていることを確認します。また残留農薬検査を行い、安全な農産物が栽培されていることも確認します。

実際の農薬の害について

農薬に一番、さらされているのは、生産者や農薬の製造に従事する人です。

農薬散布中に亡くなられた方は1名、中毒になられた方は33名(2015年度)おられます。生産者の方が自分たちの食べるものに農薬を使用しないという話を聞きますが、自分で食べるものは虫食いがあっても、形が悪くても食べる上で問題ありませんからね。